任意の種数を持つリーマン面上のヴォーテックスに関して、そのモジュライ空間(解を特徴付けるパラメータの空間)の体積を、超対称ゲージ理論の立場から構成し、計算を行った。特に、カイラル多重項の場が期待値を持つヒッグス相とベクトル多重項が期待値を持つクーロン相それぞれの立場からモジュライ空間の導出と解釈を行った。 ヒッグス相の計算ではヴォーテックス方程式(BPS方程式)の古典解の直接積分の立場からモジュライ空間の体積計算との関係が明らかになった。一方、クーロン相の立場からは経路積分を局所化の方法によって最終的に留数積分に持ち込むことによって、モジュライ空間の計量などの詳細によらない計算手法を確立し、モジュライ空間上の直接積分との関係を明らかにした。ヒッグス相、クーロン相、それぞれの立場の計算において、ゲージ固定の方法とゼロモードの個数と関連した指数定理が重要な働きを行うことが明らかになった。 さらに、ヴォーテックスモジュライ空間の体積の生成母関数を考えることで、ヴォーテックスモジュライ空間のより詳細な性質や、ヴォーテックスそのものの物理的性質が明らかになった。 これら一連の研究において、BPS方程式のモジュライ空間の性質を調べる際に、超対称ゲージ理論や局所化という方法が強力な解析方法であることが判明した。
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