研究実績の概要 |
弱い相互作用においては、K中間子を用いた実験から「パリティの破れ」が知られている。果たして、我々の宇宙における重力相互作用においても 「パリティの破れ」があるのか?これは、四つの相互作用の統一および超弦理論等に対して、重力研究から示唆を与えるうえで重要な課題である。 重力相互作用に関して言えば、アインシュタインの一般相対性理論が最も成功している理論であり、 この理論はいわゆるアインシュタイン・ヒルベルト作用に基づくため、パリティの破れを予言しない。1980 年代に、Witten がストリング理論における研究から、また、Ashtekhar らが量子重力理論の研究から、独立に、チャーン・サイモン型の作用が重力に存在する場合の有用性を論じていた。このチャーン・サイモン型の作用は、陽にパリティを破っている。 準備段階として、浅田らは、中性子干渉計を用いたチャーン・サイモン型の修正重力への可能な制限を明らかにした(Okawara, Yamada, Asada, Phys. Rev. Lett. 2012; Phys. Rev. D 2013)。この研究を、今回、サニャック型の光学干渉計に応用した理論計算を行なった。結果として、現段階では従来のチャーン・サイモン修正重力への制限には及ばないものの、近い将来の技術革新でより強い制限を課す事が可能になることを明らかにした。特に、動的な理論模型への制限および峻別が、サニャック干渉計の方が有利となる点を示せた(Kikuchi, Omoto, Yamada, Asada, Phys. Rev. D 2014)。 今後は、本研究成果の重力波干渉計への応用を検討したい。
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