研究課題
本研究課題に対する実績として以下のものがある。1.宇宙の大規模構造を解析する有力な方法として大規模構造による背景銀河に対する弱い重力レンズ効果の観測がある。この方法は重力レンズによる影響が微弱であるため背景銀河形状のレンズの影響を精密に評価する必要がある。そのために本研究では新たな背景銀河の形状測定法を開発した。また大気の揺らぎ、光学系の不完全性などによる影響を精密に取り除く必要があるが、その新たな方法を開発し、その精度を確かめるために数値実験を行った。その結果、ある程度の精度向上を確認した。2.銀河団の質量分布構造を評価するため多数の銀河団に対して弱い重力レンズ効果を観測して、決定した質量分布を冷たい暗黒物質に基づく構造形成理論との比較検討して、理論との一致を示した。またX線などの観測との比較を行って銀河団の力学状態を調べた。3.すばる望遠鏡を用いて近傍銀河団に対する弱い重力レンズ観測を行い、銀河団中における暗黒物質分布と銀河団メンバーの銀河との相関を詳細に調べ、初めて経験則に基づかない質量と明るさの関係を示した。4.近い将来に10万個のオーダーで観測される遠方のタイプIa型と呼ばれる超新星に対して、宇宙の大規模構造による弱い重力レンズを受けてみかけの明るさの分散が起こるが、赤方偏移ごとのそみかけの明るさの分散の変化からニュートリノの質量に対する制限が得られることを示した。5.銀河団による重力レンズ像の中で我々が初めて指摘したGRAMORと呼ばれる非常に拡大されているが変形が小さいものに着目して、GRAMORをつくる背景銀河の赤方偏移分布が暗黒エネルギーに敏感に依存することを示した。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
Astrophysical Journal
巻: 828 ページ: 112
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