研究課題/領域番号 |
26400268
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
松尾 正之 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70212214)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 中性子過剰原子核 / 対相関 / 準粒子共鳴 |
研究実績の概要 |
奇N核を対象にしたHFB理論に基く中性子捕獲理論の研究:捕獲の初期状態である低エネルギー入射中性子をHFB理論における連続状態準粒子状態として記述した。昨年に引き続き、p波およびs波の準粒子状態に対する対相関の影響を詳細に分析した。Si46近傍の中性子過剰原子核では、2p軌道が束縛・非束縛の境界に位置すると予想されることから、Si46に中性子がp波で入射する場合に発現する準粒子共鳴を対象にして、詳細な数値分析を遂行した。特に前年度の研究から、中性子対相関が準粒子共鳴の幅を減少させるという通常の予想とは異なる特徴が見出されており、そのメカニズムを明らかにすることを目指した。 分析の結果、以下の結論を得た。1)対相関によって共鳴幅が減少するという特徴が発現するのは、束縛軌道がフェルミ面より上に位置する粒子的準粒子共鳴の場合であること。フェルミ面より深く束縛されている軌道に対応する共鳴、空孔的な準粒子共鳴の場合は、中性子対相関の強さとともに準粒子共鳴の幅は増加する。2)対ポテンシャルは、粒子成分と空孔成分の混合を引き起こすため、粒子的準粒子の場合、対ポテンシャルの増加とともに空孔成分が増大するが、空孔成分は束縛成分であることから、幅が減少する。 この成果は、Prog. Theor. Exp. Phys.誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
奇N核を対象にしたHFB理論に基く中性子捕獲理論の研究に関しては、論文発表ができ、順調に進展している。中性子捕獲後に励起状態に遷移する場合を扱う理論形式について、理論の概要を構築することができた点も進展であるが、理論形式を完成させ数値計算プログラムを構築することが、今後の課題として残されている。
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今後の研究の推進方策 |
中性子捕獲後に励起状態に遷移する場合を扱う理論形式を完成させ数値計算プログラムを構築することが、次年度の課題である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の発表を計画していた国際会議の日程が会わなくなったため参加を取りやめため、旅費の使用残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
中性子捕獲と関連があるニュートリノ・原子核反応についてQRPA理論で研究を進めている 外国人研究者との研究打ち合せを実施する予定である。
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