本研究において、座標表示ハートレー・フォック・ボゴリューボフ理論(HFB理論)と連続状態準粒子乱雑位相近似(連続状態QRPA理論)に基づいて、r過程元素合成の基礎プロセスである中性子直接捕獲反応の理論を構築した。この理論の特徴は、中性子の超流動性(対相関)と低エネルギー集団励起モードがこの反応過程に及ぼす影響を記述することが出来る点にある。この研究ではまた、直接捕獲反応の始状態である中性子の低エネルギー散乱状態に対する対相関効果を詳細に分析し、対相関が準粒子共鳴の幅を減少させたり、S波に共鳴的な振る舞いを引き起こすなど特徴的な振る舞いをもたらすことを明らかにした。
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