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2016 年度 実施状況報告書

大域的磁場の性質から探る中性子星の構造と進化

研究課題

研究課題/領域番号 26400276
研究機関広島大学

研究代表者

小嶌 康史  広島大学, 理学研究科, 教授 (10192577)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード宇宙物理 / 相対論 / ブラックホール / 中性子星 / 磁場
研究実績の概要

本年度は次のテーマに関して研究を行った。
(1)超強磁場をもつ中性子星であるマグネターでは、外部の磁気圏にひずみとエネルギーが永年的な時間尺度で徐々に蓄えられ、ある臨界状態に達した際、突然の巨大なフレアに繋がると考えられている。より小規模で頻繁に起きるバースト現象も同列に扱えるか否かの解明も待たれている。マグネターの磁気圏にどの程度の量のエネルギーがどのように貯蓄されるかを理論的に解明することは重要である。この問題は太陽フレアと関連して研究がなされてきたが、中性子星の外部では一般相対論による空間の曲がりが重要になり、非相対論の結果と同じかどうかもに明らかでなかった。そこで、一般相対論に基づくForce-free磁気圏の数値的な解系列を系統的に求めた。空間の曲がりの結果、磁気圏に蓄えられるエネルギーの最大値はほぼ一桁増加することがわかった。成果は論文にまとめ、出版された。同時に、成果は国内学会等で公表した。
また、バーストの発現頻度と規模に関して「べき則」が観測されているが、シミュレーション結果からそれを取り出すことと観測量を比較するための予備的な考察をした。
(2)ブラックホールの近傍で起きる高エネルギー現象と関連して回転エネルギーを電磁気的に取り出す過程(Blandford-Znajek過程)があるが、それを電荷が正と負の二成分の流体の運動を考慮する微視的モデルにより研究している。昨年度、その一部の結果を公表した。今年度、WKB解をより詳細な解析を行ったところ、まとめるべき新たな課題が見つかり、現在さらに検討中である。この研究内容は国内の研究会等で深く議論した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は順調に研究が進められたが、計画全体では遅れている、学内の役職や教育等の諸事情による研究時間が不足気味である。今後順調に成果を取りまとめる。

今後の研究の推進方策

今年度は昨年以上の研究時間が確保できる予定であり、課題がまとめられる。

次年度使用額が生じた理由

使用額に差がでたのは研究発表として国際会議用の旅費を最終年に使用することが有効と考えためである。

次年度使用額の使用計画

最終年である29年度前半には国際会議に参加すること、9月と11月には研究会を開催し、その費用の一部を充てることを計画している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Axisymmetric force-free magnetosphere in the exterior of a neutron star2017

    • 著者名/発表者名
      Yasufumi Kojima
    • 雑誌名

      Monthly Notices of the Royal Astronomical Society

      巻: 468 ページ: 2011-2016

    • DOI

      10.1093/mnras/stx584

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] マグネター磁気圏でのフレア前のエネルギー蓄積2017

    • 著者名/発表者名
      小嶌康史
    • 学会等名
      日本天文学会
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      2017-03-15 – 2017-03-18
  • [学会発表] マグネターの巨大フレア時の重力波放出2016

    • 著者名/発表者名
      小嶌康史
    • 学会等名
      日本天文学会
    • 発表場所
      愛媛大学
    • 年月日
      2016-09-14 – 2016-09-16

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公開日: 2018-01-16  

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