研究課題/領域番号 |
26400278
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
八尋 正信 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40300537)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 三核子力 / カイラル有効理論 / 微視的反応理論 / 変形ハロー核 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
1)Brueckner-Hartree-Foc(BHF)理論をカイラク有効理論(Ch-EFT)による核力(2体力+3体力)に適用し、束縛系・散乱系に対する核内有効核力を密度毎に導出した。また、このBHF理論を用いて核物質の状態方程式を作成した。この有効核力は数値的に求められているため、核構造・核反応計算に適用し難い。このため、簡単な関数形の重ね合わせてで表現する「関数化」に着手した。 2)九大グループの従来の微視的多体理論では、散乱系に対して、Bonn-B型2体核力から導出されたメルボルン型有効核力を用いてきた。この有効核力とCh-EFTの2体力から導出された有効核力が非常に近いことを確認した。このため、「メルボルン型有効2体力」に「Ch-EFTによる有効3体力」を加えた「ハイブリッド核力」を考えて、核子-核反応、核-核反応における3体力効果を定性的に調べた。この「ハイブリッド核力」を入射核と標的核の密度で畳込むことによって、核子-核間、核-核間の光学ポテンシャルを求め、核子-核散乱、核-核散乱における3体力効果の定性的性質を調べた。核子-核散乱は散乱過程で高い密度を生み出さないため、3体力効果が小さいことを示した。これに反して、核-核散乱では標準核密度以上の高密度状態が発生し、3体力効果が大きく現れることを示した。今後は、Ch-EFTの「2体力+3体力」による有効核力の導出を目指す。 3)福田グループ(阪大)によって実験されたMg同位体に対する反応断面積を2)の微視的反応理論を用いて解析し、37Mgが変形ハロー核であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
課題1「カイラル有効理論に基づく微視的多体理論の構築」に関しては、ハイブリッド核力を用いたため、6割程度の達成度である。 課題2「変形ハロー核の探査」に関しては、37Mgがその候補であることを示したため、5割程度の達成度である。 課題3「状態方程式の導出と中性子星への応用」に対しては、核物質の状態方程式を求めた段階であるため、1割程度の達成度である。 このため、全体的に4割程度達成している。
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今後の研究の推進方策 |
課題1「カイラル有効理論に基づく微視的多体理論の構築」に関しては、ハイブリッド核力は用いず、Ch-EFT(2体力+3体力)による有効核力を求める。また、求めた有効核力を関数化することによって、核構造・核反応計算を容易にする。 課題2「変形ハロー核の探査」に関しては、Mg以外の同位体に着目し、変形ハロー核、ハロー核の探査を行う。 課題3「状態方程式の導出と中性子星への応用」に対しては、核物質の状態方程式に加え、クォーク物質の状態方程式も求め、ハドロン-クォーク相転移を記述できるようにする。また、この状態方程式を中性星の質量-半径関係式に適用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
九大キャンパスを移転(2015年9月)を区切りに、コンピュータ・システムを新しいものに 変える予定のため。更に、簡単な近似法を見つけたため、2014年度の数値計算は従来所有のコンピュータで行えたため。また、研究成果が予定以上に上がったため、論文発表に注力したため。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度は重い数値計算を予定しているため、コンピュータを買う予定である。
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