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強相関系である原子核には、平均場描像では理解できない様々な多粒子相関が現れるが、クラスター状態はその代表例である。最近クラスターガス状態という新しい存在形態が明らかにされ、宇宙における元素合成で重要な役割をしている12Cホイル状態はその典型例である。本研究の目的はクラスターガス状態の拡がりと深さを、ハイパー核を含めて追究することである。本年度はこれらの課題を進展させると共に、クラスターガス状態と密接な関係がある低密度核物質の研究を進めた。具体的には、現実的核力に基づいたテンソル最適化フェルミ球法の理論の枠組みと数値計算を進展させた。今年度の主な研究成果は以下の通りである。
(a)ハイパー核と通常核におけるクラスターガス状態の類似性と異質性を明らかにするために、C-13-Λハイパー核に対してHyper-THSR波動関数による4体構造の研究を進め、この成果を学術雑誌に発表した。Λ粒子がホイル状態に結合すると、Λ粒子の糊の効果により（Be-9-Λ）+alphaクラスター構造が出現し、さらに鎖状態がエネルギー的に安定化したり、クラスターガス状態が現われるなど、興味深い結果が得られた。
(b)13Cにおいて殻模型状態やクラスター状態、さらに単極子遷移強度などを良く記述する３α＋n直交条件模型を用いて、13CにおけるCP対称性の破れについての研究成果を学術雑誌に発表した。
(c)テンソル最適化フェルミ球法の理論の枠組みを発展させて、現実的核力を用いた対称核物質の計算を進めた。これらの成果を日本物理学会2017年秋季大会（2017年9月）および第73会年次大会（2018年3月）において発表した。
(d)重い核におけるα崩壊に関する研究を国際共同研究で進めて、この成果は学術雑誌に掲載された。また、テンソル最適化反対称化分子動力学法によりs殻核を中心とした研究を進めて、学術雑誌に発表した。
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