研究課題/領域番号 |
26400290
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
谷垣 実 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (90314294)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 放射線計測 / 摂動角相関 |
研究実績の概要 |
本年度は原子炉再稼働時の測定開始に備え、測定系の開発を進めた。前年度までに整備したCdZnTe GR1Aについて、検出器の特性試験を実施するとともに、摂動角相関測定系の開発を続けた。 特に本年度は、測定データの解析環境の整備を実施し、ガンマ線の同時計数判定に必要なエネルギーおよびタイミングパラメータの効率的な解析環境を構築するとともに、得られた摂動角相関スペクトルの解析能力向上に必要な環境を構築するため、解析ソフトのソフトウェアアップデートの上追加の環境整備を実施した。 さらに、28年10月にブラジルで行われたPC制御による物理・大型測定器の制御に関する国際会議(PCaPAC2016)に参加し、多数の検出器や制御センサからの多次元パラメータの効率的な収集方法や、ネットワークを介してのnsオーダの精密なタイミング管理、物理的な設置場所が分散した状態の検出器や計測機器からネットワークを介した効率的なデータ収集、EPICSなどの効率的な物理計測制御システムの最新動向に関する情報収集を行った。 加えて、摂動角相関で利用できる新たな放射線計測技術の開拓を進めるための調査もおこなった。環境レベルのバックグラウンドの処理に関する経験を持った方からの情報提供を受けたほか、摂動角相関システムの小型化やKUR-ISOLへの設置を容易にするためGR1Aのマイコン制御への移行も試み、試験レベルでの稼働を確認した。 また、現在研究進展の大きな支障となっている原子炉再稼動の遅れの影響を最小限に食い止めるため、代替施設などの検討も行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究に必要な京大原子炉について、法令改正と規制官庁による審査対応が想定外に延びており、これに伴う研究に遅れが発生している。測定対象としている不安定核を生成および試料への注入に京大炉のオンライン型質量分析器(KUR-ISOL)を利用するが、KUR-ISOLは京大の5MW原子炉に設置されており、この原子炉が稼働しない限り不安定核の生成自体が不可能である。また、代替施設として利用を計画していた東北大学のイオンガイドについても、施設側の運用上の問題で実質的に利用ができない状態となっている。
|
今後の研究の推進方策 |
京大原子炉国の新たな原子炉の規制強化対応のため停止中であるが、28年度秋に新規制基準に適合と判断され、事実上再稼働が決定した。現在、審査合格した内容に基づいて必要な設備の変更や対応作業が進んでおり、29年度6月ごろに再稼動となる見込みである。課題としては28年度までに原子炉稼働再開時に直ちに必要な測定が実施できる状況まで準備が整っているため、再稼働とともに研究遂行に必要な測定を実施できる状態である。そこで、28年度に課題の期間を1年間延長して最終年度を29年度とし、この年度の原子炉再稼働後に必要な測定を実施することとしている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
原子炉再稼動に対応するため29年度に事業期間を延長しており、29年度に必要となる測定用試料作成費用ほかの消耗品費を確保するため。
|
次年度使用額の使用計画 |
29年度に実施する不安定核の摂動角相関測定で使用する試料作成費用、測定時に必要となるケーブルほか電子部品等の消耗品費として使用。
|