研究課題/領域番号 |
26400296
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研究機関 | 足利工業大学 |
研究代表者 |
木村 彰徳 足利工業大学, 工学部, 教授 (60373099)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 測定器シミュレーション / GPGPU / 三次元形状モデリング / 適応的四面体 |
研究実績の概要 |
コンピュータのハードウェアとソフトウェア技術の発展によって性能が向上し,様々な分野でコンピュータシミュレーションが利用されるようになっている.例えば、医療,宇宙科学,物理学などの分野では,遠隔医療のための基礎研究,治療精度の向上,装置の開発や最適化,新粒子探索などを支援する放射線シミュレーションである.一方で,計算精度の向上のためにより複雑なシミュレーションが必要になり,結果的にさらなる計算速度の向上が必要となっている.計算精度を向上させる一つの手法として,人体や測定器等のより詳細な構造をモデリングする適応的四面体格子が用いられている. 本研究では,GPU(Graphics Processor Unit)を利用した高次の並列処理によって,高速で高精度を実現するシミュレーションで利用する三次元形状の適応的四面体格子の生成,領域抽出及び隣接セル検索を行うためのアルゴリズムに関する研究を行っている. GPUだけでは行えない高精度で大規模なシミュレーションに対して,GPUが担当できる処理領域を増やすことができ,CPUによる処理とGPUの 協調処理でより高速なシミュレーションの実現に寄与できると考えている.さらに,本研究の成果として,応用ソフトウェアを開発し公開することも目的としている. 本年度は,GPUで実行できるアルゴリズムを評価するための可視化ソフトウェアを開発した.この可視化ソフトウェアはボリュームデータを適応的四面体格子でモデリングし,レイキャスティング法で画像を生成するものである.レイキャスティング法は放射線シミュレーションでモデル内の粒子を追跡するのと同様なアルゴリズムを用いる手法である.現在はCPUによる実行のみで,次年度にGPUによる実行ができるようにアルゴリズムを実装し評価を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は,ボリューデータの高速な適応的四面体格子を用いたモデリングのためのアルゴリズムをCPUで実行できるソフトウェアを開発することと,さらにGPUに最適化したアルゴリズムで実行できるソフトウェアの開発であった.現状は以下の通りである. ・性能評価のために,CPUで実行できる適応的四面体格子を生成するソフトウェアの開発は完了した. ・適応的四面体格子が正しく生成されているかやその性能評価のためのボリュームレンダリングをする可視化ソフトウェアの開発を進め,GPUによる処理の部分を除きほぼ完成した. ・適応的四面体格子を生成するアルゴリズムのGPUによる実装は,始めたばかりでまだ実行できるところまで進んでいない.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度であるので、GPUで実行できる適応的四面体格子を生成するソフトウェアの開発を完成させる.最新のGPUを搭載したビデオカードを購入し,開発環境とする.開発するソフトウェアは,アルゴリズムの実装としてNVIDIA社のGPUに最適化したものになる.NVIDIA社のソフトウェア開発者に,実装を進める中で技術的な助言を得ることを考えている. 並行して,開発する適応的四面体格子を用いたボリュームレンダリングをする可視化ソフトウェアの開発を完成させ,性能評価ができるようにする.これらを合わせて,今年度後半に,学会での成果発表を行う予定である. 最後に,完成したソフトウェアの公開のための作業として,ホームページの作成を考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
少額の残額となったため次年度使用額とした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度予算と合わせて、最新のアーキテクチャのGPUを搭載したビデオカードの購入に充てる。
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