研究課題/領域番号 |
26400297
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
柴田 祥一 中部大学, 工学部, 教授 (20267909)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 太陽中性子 / 太陽フレア / 宇宙線 / 粒子加速 / 太陽中性子望遠鏡 / 宇宙天気 / 多方向ミューオン望遠鏡 / メキシコ |
研究実績の概要 |
第24太陽活動期における地上での太陽中性子イベント取得へ向けて,新型太陽中性子望遠鏡(SciCRT)は現在定常観測の段階に入っている。現状では,中性子の観測には検出器全体の3/8を使用しており,そのうち2/3は1年の約半分・残る1/3は50日ほど,24時間安定してデータを取り続けている。我々は,より安定したデータ収集と可動領域の拡大を目指し,この1年間はデータ収集システムの改善に取り組んできた。 6月頃には,個々のサーバーへの負荷を軽減させるため,複数のジョブを並列処理しないよう,データ収集プログラムの最適化を行った。7月には,データ収集専用サーバーのCPUをアップグレードした。そして,9月には,メキシコ自治大学のサーバーにRAIDを導入し,SciCRTのデータストレージ基盤を強化した。10月には,日本人がシエラネグラ山へ行き,データ収集の問題の解決に当たった。その結果,中性子へ荷電粒子のVeto信号を生成している,ミューオンのトリガー回路の挙動に問題があることが判明した。根幹にある問題の原因はほぼ特定できており,現地へ定期的に行くメキシコの共同研究者と共に改善へ向けて尽力している。 これら現在のデータ収集システムへの取り組みと並行して,高速データ収集システムの改良も進めている。Open-Itプロジェクトの枠組みで,KEK測定器開発室と協力しながら,SiTCPを用いた高速データ収集用バックエンドボード(BEB)のバージョン1.0を開発した。4月以降は,名古屋でこのBEBの基礎性能評価を進めた。10月に,TRGB等の周辺機器を準備し,シエラネグラ山にて宇宙線のデータ取得試験を実施した。そして,その結果を踏まえてBEBの改良を行い,バージョン2.0を開発した。2015年6月頃には,全体の1/8に対し,高速読み出しのアップグレードを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
この1年間は,データ収集システムの改善に取り組んできた。そして,データ収集サーバーのCPUをアップグレードし,メキシコ自治大学のサーバーにRAIDを導入した。 これらの過程で,中性子へ荷電粒子のVeto信号を生成している,ミューオンのトリガー回路の挙動に問題があることが判明し,研究の遅れを生じた。 ただし,根幹にある問題の原因はほぼ特定できており,現地へ定期的に行くメキシコの共同研究者と共に改善へ向けて尽力している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに国内で開発した高速データ収集用バックエンドボード(BEB)のバージョン1.0の性能評価を終了し,改良版バージョン2.0を開発した。 今後は,改良版BEBの試験運転を実施し,その後,本来の研究目的である (1)データ圧縮, (2)太陽中性子イベントのアラート, (3)実時間解析モニターデータの自動転送, の機能を備えた実時間解析システムの実現を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
「現在までの達成度」で述べたように,データ収集システムの改善の過程で,中性子へ荷電粒子のVeto信号を生成している,ミューオンのトリガー回路の挙動に問題があることが判明し,研究の遅れを生じた。そのため,観測装置のある現地メキシコへの出張旅費が,当初の予定を下回った。
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次年度使用額の使用計画 |
メキシコへの出張旅費を繰り越して,次年度分と合わせて使用する。必要な備品・消耗品は予定通り使用する。
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