研究課題/領域番号 |
26400313
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
辻井 宏之 金沢大学, 学校教育系, 教授 (10392036)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ナノコンタクト / 破断接合 / トンネル現象 / 量子化コンダクタンス / 低温物性 |
研究実績の概要 |
ブレークジャンクションは、基板を機械的に変形させることによって基板上に設置した金属細線を破断するとともに、破断された細線間の距離をナノスケール以下の精度でコントロールする実験方法で、量子ポイントコンタクトやナノワイヤーなどの微小接合における電気伝導度の研究に用いられている。本研究では、ブレークジャンクションを用いて制御したナノ接合を精密に温度制御することで、1次元電子系に特有な量子臨界現象の検証や、量子化電気伝導度と熱伝導度の同時観測による原子の電子軌道と熱伝達の関係の解明を通して、金属単原子鎖やナノデバイスの低温量子伝導現象を探索することを目的としている。 今年度は、これまでに設計や試作を行ってきた温度制御ブレークジャンクション装置を完成させ、超伝導細線の測定を行った。装置からナノジャンクションへの熱流入減少のために利用を試みた非金属の基盤の場合、破断及び再結合の過程で連続的な測定ができないことがあると判明したので、金属と非金属を貼り合わせた基板を用いることにした。Nb細線の接合部の片側をヒーターにより加熱し、温度差を生じさせてジャンクションの電気伝導度測定を行った。測定用のリード線からの熱流入なども考慮し昨年度までに整備した冷凍機に加え、さらに低温での測定を目指した冷凍機の製作を開始した。温度制御により接合部の物性を制御した測定が開始され、今後は熱伝導度の測定も予定している。温度制御したナノジャンクションの低温量子伝導現象の観測を目指して測定に取り掛かることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノジャンクションの温度依存性や熱伝導度測定にのためのブレークジャンクション装置を改良を加えながら完成させ、測定を開始することができた。さらに低い温度を目指して新冷凍機の製作も始めており、これらを利用して様々なナノジャンクションの測定ができるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
完成したブレークジャンクション装置を利用し、ナノジャンクションの温度依存性や熱伝導度の測定に取り掛かる。ナノジャンクションの電気伝導度や熱伝導度に現れる量子現象を、ジャンクションのサイズを変えながら検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に申請した旅費の残額を有効利用し物品費として使用したが、少額の未使用分が残った。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の物品費と合わせ装置整備に用いる金属材料や電子部品等の購入に使用する予定である。
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