研究課題/領域番号 |
26400327
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
大和田 謙二 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 放射光科学研究センター, 上席研究員(定常) (60343935)
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研究分担者 |
松浦 直人 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科, 中性子科学センター, 副主任研究員 (30376652)
岩田 真 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40262886)
西松 毅 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (70323095) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 強誘電体 / 界面 / ドメイン / リラクサー強誘電体 / 電場 / 放射光 / 中性子散乱 / 分子動力学法 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、界面密度制御されたBaTiO3単結晶において中性子凖弾性散乱実験を行い90度ドメイン界面由来のダイナミクスの検出を目指すものである。 1.放射光施設SPring-8にて別途開発中の後方(180度)散乱光学系を用いてBaTiO3の結晶の界面の観察を試み、界面由来の強いストリーク散乱の検出に成功した。この情報は中性子凖弾性散乱の計測結果を理解するうえで重要な役割を果たした。 2.名古屋工業大学において中性子非弾性散乱実験用大型単結晶試料の調整を行った。10×10×3 mm3(x × y × z)の単結晶(z軸)に対して10kV/cmまでの高電界をかけドメイン制御を試みた。001-cut単結晶ではドメイン境界面はあらかた消失し、一方で111-cut単結晶では数マイクロメートルピッチでドメイン境界面が高密度に導入されていることが確認された。これら001-cut結晶と111-cut結晶が同じ散乱配置になるように作成された中性子散乱実験用ホルダーに保持した。 3.J-PARCのBL02(DNA)において2.で準備された単結晶試料を用いて凖弾性散乱実験を行った。001-cut(90度ドメイン境界はほぼなし)、111-cut(高密度90度ドメイン境界導入)2種の試料を比較して、後者にのみ観測される散乱成分(1.で見出した散乱に相当すると考えられる)を見出した。この散乱成分のエネルギースペクトルをエネルギー分解能3マイクロeVにて計測し、エネルギー分解能をやや上回る線幅であることを見出した。この散乱の温度変化を計測し、常誘電相にてこの散乱が消失することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中性子施設J-PARCの中性子源(ターゲット)の不調から運転停止が相次ぎH28年度前半に予定していた実験が実施できず、H28年度末(平成29年3月24日-27日)にようやく実験を実施した。得られた実験データの解析とそれに伴う成果発表は年度内には難しい。以上の理由から補助事業期間の延長を申請し、受理された。
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今後の研究の推進方策 |
得られた実験データを解析し界面由来ダイナミクスの抽出を行う。また得られた成果は学会等を通じて発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
中性子施設J-PARCの中性子源(ターゲット)の不調から運転停止が相次ぎH28年度前半に予定していた実験が実施できず、H28年度末(平成29年3月24日-27日)にようやく実験を実施した。得られた実験データの解析とそれに伴う成果発表はH28年度内には難しいことから、かかる解析と成果発表にかかわる経費を次年度に持ち越した。
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次年度使用額の使用計画 |
解析に利用する記憶媒体等の購入や成果発表にかかわる旅費に使用する。
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