研究課題
平成28年度は、まず、ヒッグスモードが物質表面に局在する、特殊な磁性体を理論的に提案した。具体的には蜂の巣構造をしたスピンダイマー系を考え、ジグザグエッジの場合にはヒッグスモードが表面に局在して、1次元的な励起状態を形成することを示した。蜂の巣構造のスピンダイマー物質は発見されており、今後の実験において1次元的なヒッグスモードの観測が期待される。また、ヒッグスモードが予想される新規なスピンダイマーとテトラマー系物質について、産総研の実験グループと共同で磁気的性質を調べ、ヒッグスモードが存在する可能性が高いことを示した。また最近、アメリカの実験グループと共同で、2次元的なスピンラダー系物質について、ヒッグスモードが存在していることを確認した。この物質では磁場によって励起エネルギーが変化し、マグノンが他の励起へ自発的に崩壊することも確認した。容易面型の異方性が強くヒッグスモードが確認されているBa2CoG2eO7では、電気磁気効果も観測されている。東大物性研の実験グループと共同で、電場による磁気モーメントの制御を実現した。さらに、ヒッグスモードが明瞭に観測されているTlCuCl3においても、電気磁気効果が期待される。東北大金研の実験グループと共同で、磁場誘起秩序相において観測された電気分極が、スピンダイマーに由来していることを確認した。この研究を契機に、物質の対称性に基づいて、磁性で誘起される電気双極子の一般理論を提出した。この研究は様々な物質の磁性誘起電気双極子に適用可能であり、今後の応用が期待される。また、ナノ領域で電気磁気効果が現れるモデルとして、近藤効果を利用した量子ドットの研究も行った。以上のように、ヒッグスモードは素粒子分野だけでなく、様々な物質にも普遍的に存在し、その性質を解明することで、物理の普遍性を明らかにする研究を行った。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 4件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 9件、 謝辞記載あり 10件) 学会発表 (5件)
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