研究課題
本年度はTb+x2Ti2-xO7+yのx<xcにおける「量子スピンアイス」状態に着目し、そこに現れる準粒子的モノポールの性質・ダイナミクスを調べた。具体的には以下の研究実績を得た。また本年度はいくつか新しい物質系の開発も行って研究を進めた。得られた成果は論文にまとめた。単結晶合成の最適化を行って濃度勾配が現れる問題点を解決し、x<xcの量子スピンアイス相の純良大型単結晶を合成した。それらの単結晶を用いて磁場中角度回転比熱測定や非弾性中性子散乱実験を行った。当初、0.2 T程度の磁場で比熱の温度依存性に大きな変化(磁場中相転移など)が起きるものと予想していたが、低磁場ではどの角度方向でもほとんど変化が見られず、ゼロ磁場の振る舞いと同じであることがわかった。すなわち、低温比熱の大半は非弾性散乱に見られるcontinumな成分に由来するものと考えられる結果が得られた。また0.1 K以下では大きな核比熱の寄与を見出した。比熱の磁場角度依存性にはモノポールの準粒子励起を特徴づける性質が現れると面白いと思われるので今後詳細な解析を行いたいと考えている。また比熱の磁場角度依存性は古典効果で理解できる部分もあると思われるので合わせて解析していきたいと考えている。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 7件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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