| 研究課題/領域番号 |
26400338
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| 研究機関 | 帝京大学 |
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研究代表者 |
中村 真一 帝京大学, 理工学部, 准教授 (80217851)
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| 研究分担者 |
池田 直 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (00222894)
三井 隆也 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究員 (20354988)
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| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| キーワード | 核共鳴散乱 / 放射光 / 回折装置 / 結晶サイト選択性 |
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| 研究実績の概要 |
本研究の目的は，放射光を用いたエネルギー分解型核共鳴散乱装置（SPring-8，BL11XU）に回折計を組み込み，被測定試料からの特定の反射光を利用して，ミラー指数に対応した選択的結晶サイトからの核共鳴散乱スペクトルのみを抽出測定する全く新しい測定装置を開発することにある。平成２６年度は，回折計の設計・設置，光学系の改良・設置，核共鳴散乱回折装置の試運転，及び，単結晶試料の作製，を研究実施計画に挙げ，概ね計画通りに実施する事が出来た。
まず，装置の開発に関しては，ビーム停止期間に３度SPing-8に集会し，現装置の構成確認，試料ホルダーの設計，回折計周りの配置，γ線回折計制御装置の購入・納品（ツジ電子製パスルモーターコントローラ，制御ソフトSPEC，Linuxコンピューター，及び，メレック製ステッピングモータードライバ），同制御装置を用いたチルトステージの試運転，等の作業を行った。回折計と計測カウンターの動作は，θ-2θ回転を用いる事とした。
一方，測定に用いる単結晶としては，α-Fe2O3，Fe3O4，及び，YbFe2O4を用意した。測定計画の回折計-計測カウンター配置では，目的とする反射光のミラー指数を含む主要面で試料を切り出す方法が簡単かつビーム強度的に有効である。それぞれの試料に対して，c面，(111)面と(110)面，c面を切り出した，5-10mmサイズの板状に加工した。
以上で，オフラインで行なえる装置開発と試料の準備は全て整った。ビームラインでの実際の測定は，日本原子力研究開発機構・関西光科学研究所（SPring-8）専用ビームラインBL11XUにおいて行なう。平成27年度上半期マシンタイム用に本研究課題で課題申請を行ない，採択された。平成27年度の実施計画として，開発した装置を用いて，α-Fe2O3，Fe3O4，及び，YbFe2O4を測定する予定である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の実施計画は，第１に核共鳴散乱回折装置を開発する事であり，その作業は基本的にオフライン（ビームラインを使用しない）で行なうべきものである。予定していた作業，（１）回折計の設計・設置，（２）光学系の改良・設置，（３）核共鳴散乱回折装置の試運転，の３点に関しては，オフラインで行える作業は全て終える事が出来た。平成26年度下半期の日本原子力研究開発機構・関西光科学研究所（SPring-8）専用ビームラインBL11XUへの課題申請（平成26年6月締め切り）には，到底間に合わなかったために，本年度中にビームラインでの実際の測定は行うことが出来なかった。しかし，平成27年度上半期の早い時期にマシンタイムを得たので，ほぼ予定通りに進行していると言える。
また，測定試料の準備は全て整っており，平成27年度上半期のマシンタイムを待つばかりとなっている。更に，次年度以降に測定対象と考えている試料（GaFeO3，Ba2Mg2Fe12O22，等）についても，ある程度の準備が出来ている。
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| 今後の研究の推進方策 |
専用ビームラインBL11XUにおいて，１年に２度マシンタイムに合わせて，平成27，28年度を計画する。
（１）平成27年度上半期マシンタイム：まず，α-Fe2O3を用いて，反射光による回折スペクトルの測定を試みる。光学系の調整，θ-2θ測定法の確立，試料温度の変化，等を行なう。次いで，Fe3O4を用いて，結晶サイト選択性の測定を行なう。(111)，(222)，(220)の３種類の反射光を用いてスペクトルを測定し，A，Bサイトのスペクトル強度の変化を調べる。回折光に対して，電子散乱と核ブラッグ散乱の両方を考慮して構造因子を計算し，実測値との対応を調べる。最後に，YbFe2O4を測定し，結晶性の違いがスペクトル線幅等にどう反映されるか検討する。
（２）回折計制御の向上：上記マシンタイム終了後，オフラインにて，平成26年度に新規購入した回転制御システムの動作向上を目指す。θ-2θの連動制御，試料台へのアジマスステージ導入，SPECを用いた本格的な制御，等も計画する。
（３）平成27年度下半期マシンタイム：上半期マシンタイムでの結果を元に，SNの向上，分解能の向上，新しい回転制御システムの導入等，測定法の確立を目的とした追加の測定を行なう。測定試料としては，基本的に上半期と同じ試料で別の反射を狙う。また，57Feエンリッチ試料も用いて核ブラッグ散乱強度をコントロールし，スペクトルの強度比変化を調べる。結晶サイト選択性の測定には，Fe3BO6等の試料も視野に入れる。
（４）平成28年度：上・下半期，２度のマシンタイムを用いて，マルチフェロイック化合物GaFeO3，Ba2Mg2Fe12O22等の結晶サイト選択的スペクトル測定を試みる。混合原子価化合物YbFe2O4では，電荷秩序配列に関する測定を試みる。更に，偏光を利用した実験のために，試料にアジマスステージの導入や外部磁場の印加を検討する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
日本原子力研究開発機構・関西光科学研究所（SPring-8）専用ビームラインBL11XUの施設使用料（およそ10万円）を予算計上していたが，本年度はこれを使用しなかった。また，γ線回折制御装置として予算計上していた，制御ソフトSPECのインストール用コンピューターが安く導入出来た。
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| 次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は，日本原子力研究開発機構・関西光科学研究所（SPring-8）専用ビームラインBL11XUにおける実験を上半期と下半期の２度行なう計画である。当初予算では，１回分の施設使用料しか計上していないため，この次年度使用額を充当する予定である。
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