研究課題
(1) PrNb2Al20の非フェルミ流体状態に関する研究:単結晶PrNb2Al20については、H15年度までに決定したNb, Al-96g、 48f、16cサイトの超微細相互作用および四重極パラメータをもちい、緩和率およびスペクトルから結晶場に関する同定を行った。単結晶粉末化試料を用いた強磁場実験のスペクトル形状の磁気異方性解析から、結晶場基底状態は非磁性Γ3二重項であり、第一励起状態がΓ5であることを明らかにした。この結果は、中性子散乱の結果を再現する。また、19テスラまでのAl,NbサイトのNMR緩和率1/T1の磁場・温度依存性からは高温は局在結晶場モデルで説明できるが、低温ではこのモデルで説明できない低エネルギー励起を観測し、これが非フェルミ流体状態と関係している可能性を見いだした。(2) PrTa2Al20の基底状態の研究:Al(96g) サイトの緩和率の種々の磁場、温度での実験を行い、低温で緩和率の急激な減少を明らかにし、これより温度磁場相図を作成した。その振る舞いは比熱の結果と整合しており、Γ3による電気四極子秩序が起きている可能性を明らかにした。また、この特異な相図について磁場誘起磁気双極子相互作用、もしくは磁気八極子相互作用が重要であることを明らかにした。(3) PrT2Al20系の混成効果に関する研究:本研究で行ったT=Nb、Ta以外に、TiやV系の先行研究についても、高温での緩和率解析を行い、結晶場状態とcf混成に関する考察をおこなった。シングルイオンモデルを用いた解析から、cf混成と結晶場第一励起状態との拮抗が多彩な基底状態の起源であることを明らかにした。(4)比較物質単結晶SmTa2Al20のNMRによる研究:転移温度以下で横緩和率1/T2の急激な増大を観測し、多極子揺らぎの存在を見いだした。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 7件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
Journal of Physics: Conf. Series
巻: 807 ページ: 032006-1-6
10.1088/1742-6596/807/3/032006
巻: 807 ページ: 052015-1-6
10.1088/1742-6596/807/5/052015
巻: 807 ページ: 012014-1-6
10.1088/1742-6596/807/1/012014
巻: 807 ページ: 062002-1-5
10.1088/1742-6596/807/6/062002
巻: 807 ページ: 012005-1-5
doi:10.1088/1742-6596/807/1/012005
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