研究課題
本研究の目的は、"無機化合物の結晶構造のカイラリティを制御できる普遍的な不斉合成手法の開発"と、"無機カイラル磁性体のカイラルソリトン格子の観測及びその新規物性の観測"を行うことである。平成26年度において得られた成果は以下の通りである。(a) CsCuCl3のカイラルらせん磁気構造の観測独自の結晶育成手法により、結晶カイラリティが単一のcmオーダーの大型単結晶試料の育成に成功した。得られた単結晶を偏極中性子回折測定で評価したところ、右手系結晶試料は右巻きのらせん磁気構造であることが判明した。(b) MnSiのカイラルソリトン格子の観測MnSiの左手系単結晶を育成し、磁場中偏極中性子回折測定を実施した。磁場の増大によりらせん磁気構造が解け、カイラルソリトン格子が成長することが判明した。
2: おおむね順調に進展している
研究は当初の計画通りに進められている。偏極中性子回折測定を実施するのに十分なcmオーダーのCsCuCl3単結晶試料の不斉合成に成功した。さらに、偏極中性子回折測定でカイラルらせん磁気構造の形成を実験的に検証することに成功した。
合成手法をより改良し、より普遍的な不斉合成手法を目指す。また、引き続きMnSi以外の物質でもカイラルらせん磁気構造・カイラルソリトン格子の観測の検証を行い、カイラルソリトン格子形成に伴う新規物性の検証を行う。
平成26年度未使用額は少額(14,548円)であり、次年度の予算執行計画にも大きな影響を及ぼさないため、そのまま繰り越しとした。
平成27年度は、試薬や実験必需品などを中心とした物品費に90万円程度、外部実験や成果発表に関わる旅費に40万円程度の支出を予定している。
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JPS Conference Proceedings
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