研究課題
本研究の目的は、"無機化合物の結晶構造キラリティ制御可能な合成手法の開発"と"無機キラル磁性体のキラル磁気ソリトン格子の観測及びその新規物性の観測"を行うことである。本研究で得られた主な成果を以下に記す。(a) 単一結晶キラリティを有する単結晶育成手法の確立撹拌法で得られた水溶性無機キラル磁性体CsCuCl3のmmオーダーの単一結晶キラリティの単結晶をベースとして、独自の結晶育成法により結晶キラリティを片手に保持したままcmオーダーに大型化することに成功した。また、浮遊帯域法により単一結晶キラリティを有するキラル磁性体TSi (T: 遷移金属) の大型単結晶の育成に成功した。TSi単結晶は、結晶キラリティが片手系に偏るが、物質に寄って偏る結晶キラリティが決まっている。今後は、逆手系の結晶キラリティを有するTSi単結晶の育成を目指す。(b) 結晶と磁性のキラリティ結合及び磁気抵抗効果の観測上記の結晶育成手法で得られた単一結晶キラリティを有するCsCuCl3の大型単結晶試料を用いて偏極中性子回折測定を実施した。右手系結晶は右巻きキラルらせん磁気構造、左手系結晶は左巻きキラルらせん磁気構造で有ることを決定した。また、キラル磁性体CrNb3S6を数十マイクロメーターの大きさに加工し、磁場下のキラル磁気ソリトン格子形成に伴う新規磁気抵抗効果を観測した。微小試料内において、磁場印加によりキラル磁気ソリトンの数が変化することに伴う多値的で離散的な磁気抵抗の検出に成功した。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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