研究課題/領域番号 |
26400369
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
満田 節生 東京理科大学, 理学部, 教授 (90183962)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スピンフラストレーション / 一軸応力 / 交差相関物性 / スピン・格子系 |
研究実績の概要 |
本研究では、これまでの100MPaまでの磁気ピエゾ効果の研究成果を踏まえ、1GPa までの高い応力下におけるスピン・格子複合系における特徴的な磁気・誘電応答を探査することを目的に研究を始めた。 [1] スピン誘導型強誘電体の一つであり、その磁気フラストレーションの解消に格子の自由度を巻き込み自発的な格子変形を伴う「スピン・格子複合系」でもある酸化物 CuFeO2 をモデル物質として、1GPa までの高い応力下における特徴的な磁気・誘電応答を探査したところ、微量希釈試料CuFe1-xGaxO2(x=0.035)において、螺旋磁気構造により自発電気分極を示す基底状態の高温側に、250MPa以上で新たな強誘電相が出現することを詳細な自発分極・誘電率測定により明らかにした。 [2]1GPa までの高い応力下における磁気応答の探査として、これまで申請者らがその磁気秩序形成を詳細に探査してきた2等辺三角格子CoNb2O6に対して、2等辺の頂点(a軸)方向および底辺(b軸)方向に一軸圧力印加することよって結晶格子を変形させ交換相互作用定数を制御できることを、先行する中性子回折実験に加え、交流帯磁率により明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目に[1]をさら進めるためのドイツ中性子散乱施設HZBで採択されていた課題「14100387-ST:"Uniaxial-pressure control of ferroelectricity in a spin-driven magneto-electric multiferroic CuFe1-xAlxO2"」および、[2]をさらに進めるためのドイツ中性子散乱施設HZBで採択されていた課題(14201221-ST:"Anisotropic control of exchange interactions in a frustrated isosceles triangular lattice Ising antiferromagnet )らが、HZB施設における原子炉稼働の問題で1年間にわたり延期されたため
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今後の研究の推進方策 |
上記の2つの中性子散乱実験課題のうち[1]は4月現在、実施中であり、[2]も7月の実施がアレンジされているため、実験室におけるバルク測定と相補的な中性子散乱実験を、国内J-Parkのマシンタイムを含め効果的に使用していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では中性子散乱実験の実行が不可欠であるが、ドイツ中性子散乱施設HZBで採択されていた課題「14100387-ST:"Uniaxial-pressure control of ferroelectricity in a spin-driven magneto-electric multiferroic CuFe1-xAlxO2"」が、HZB施設における原子炉稼働の問題で1年間にわたり延期されたため、計画していた海外実験出張が行われなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
H27年4月下旬現在では、上記の課題(14100387-ST)を実施中であり、さらにH27年7月中旬には別の課題(14201221-ST:"Anisotropic control of exchange interactions in a frustrated isosceles triangular lattice Ising antiferromagnet )も実施予定であるので、今後は順調に使用計画が進むと思われる。
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