量子導体を対象に,熱電効果にまつわる熱・電荷・エントロピーの揺らぎに関する研究を行った.この研究は,揺らぎの分布を取り扱う理論である完全計数統計理論(full-counting statistics)にもとづく.本研究では,1)電極の熱揺らぎを取り扱う理論を構築した.それを拡張し非平衡スピントルクによる磁化反転や,効率の分布を解析した.2)量子状態の事前・事後選択を行ったとき,熱溜めに放出される熱量分布が満足する一般的な関係を調べた.3)量子導体において自己情報量の揺らぎの分布を求めた.これによりエンタングルメント・エントロピーの揺らぎを特徴づけることができる.
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