当初は、研究期間を平成26年度から28年度の3年間と設定していたが、28年度に研究課題に関連する新たに取り組むべき興味深いテーマが現れたため、期間を平成29年度までに延長した。 非整数運動学に対する変分原理の定式化はすでに成功しており、異常拡散現象へのアプローチが種々のドリフト項に対して解析的に展開できるようになった。時空的に非整数的なFokker-Planck方程式を変分原理から導出する作用積分が構成出来ていた。 そこで、Hamilton形式の理論を構築する、という新たな課題が現れた。Hamiltonの正準理論には、時間についての「局所性」が基本的な構造として存在するが、非整数Fokker-Planck方程式は時間的に「非局所的」である。従って、正準理論の展開において、何らかの非自明な問題が派生すると予想される。この予想は正しかった。実際、システムの時間発展を生成するハミルトニアンが、互いに異なるふたつの形をもつことが分かった。このことから、これらふたつのハミルトニアンが、同一の時間発展を生成することを証明する必要があることになる。この問題を解決するには、時間的非局所性を反映する異なる時刻での基本的正準変数に対するPoisson-Dirac括弧関係式を導出し、それに基づいてふたつの異なるハミルトニアンによる時間発展を解析する必要がある。結果的に、この新たな問題は、完全に解決出来た。ふたつのハミルトニアンが、実際に、同一の時間発展を生成することが証明された。 この結果は論文にまとめられ、目下、学術専門誌の査読過程にある。
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