研究実績の概要 |
本研究では、近年、非線形性の強い離散周期系における普遍的な局在励起構造であると認識されるようになった『非線形局在モード(Intrinsic Localized Mode: ILM)』の、実験的検証および理論との比較に耐え得る精密な実験データの取得を目的としている。非線形バネの開発・製作および連成振動子列実験装置の作製から始まり、モーターを用いた加振装置の作製および移動型ILMの励起実験、初期変位装置(振動子保持装置)の自作および定在型ILMの励起実験、これら励起振動モードの解析のためのモーションキャプチャーシステムの構築等、概ね当初の計画どおりに研究を進めることができた。比較的大きなスケールである力学実験装置でILMの存在およびロバスト性を実証できたことは、ILM研究分野において大変意義があり、大きなインパクトを与えることができた。研究成果の発表および関連研究者との議論の関係で、昨年度に研究期間の延長承認申請をおこない、今年度1年間の延長が認められた。本年度はこれまでに得られた実験結果のまとめとデータの整理をおこない、論文にまとめて投稿した。空気浮上型の実験の結果については査読付き国際学術雑誌『Nonlinear Theory and Its Applications』に掲載された(vol. 8, no. 2, pp. 146-152 (2017))。吊り下げ型の実験に関しても投稿の準備を進めている。また本研究で得られた結果を踏まえて、連携研究者らとの研究打合せ及び今後のILM研究の方針等について議論をおこなった。
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