研究課題/領域番号 |
26400402
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 正 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (30391999)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | クエンチダイナミクス / 量子相転移 / 動的相転移 / 開放量子スピン系 |
研究実績の概要 |
平成28年度は本研究課題に関連する実績として、論文1本を投稿し、学会発表を3回(うち国際会議招待講演1回)行い、その他セミナー発表を何回か行った。 27年度にロシュミットエコーと呼ばれる量に見出される動的相転移という現象の研究を行ったが、28年度中には新たな研究手法を用いて別の模型における動的相転移の研究を行った。動的相転移の研究は、28年度に初めて実験的な観測が行われるなど、現在関心が急速に高まっている。本研究で得た結果は、論文としてプレプリントサーバーに投稿すると同時に論文誌に投稿した。現在1回目の査読を経て再投稿し、2回目の査読の結果を待っている段階である。 28年度中には、環境と相互作用する開放量子スピン系のクエンチダイナミクスの研究を開始した。実は開放量子スピン系の研究を行うことは本プロジェクトで計画していたわけではない。しかし、27年度に参加した国際会議において、研究代表者はそれを優先して行わないと手遅れになることを感じたのである。環境と相互作用する開放量子多体系の計算は様々な困難を伴うため、大胆な近似を使うことが多い。研究代表者はそれを避ける方法を27年度から28年度にかけて模索していた。そのような状況において、28年度に参加した国際会議で行った議論がきっかけとなり、研究代表者はこれまでに計算が非常に困難であった開放量子スピン系のダイナミクスの計算を近似を避けつつ可能にする、画期的な手法を思いついた。計算の予備的な結果は28年度3月の国内学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本プロジェクトでは乱れのある系のクエンチダイナミクスをその静的特性によって理解することを目指している。プロジェクト開始時には環境と相互作用する開放系のクエンチダイナミクスは研究対象としていなかった。しかし、本プロジェクトを取り巻く情勢、とりわけ量子アニーリングの実験の進歩が予想以上であり、開放系の量子アニーリングを含むクエンチダイナミクスの研究を喫緊の課題として行う必要が生じてきた。そのため、28年度は開放量子スピン系のクエンチダイナミクスの研究、とりわけ計算手法の開発に力を注いだ。当初の計画とは多少異なる道を進むことになったが、乱れのある系のクエンチダイナミクスを理解する点では目標は変わっていない。28年度中に開発した手法を用いて29年度に目標を達成する計画である。 このほか、28年度は乱れの無い系のクエンチダイナミクスで生じる動的相転移の研究も行った。この研究も当初の計画になかったものであるが、急速に関心が高まっている問題であり、クエンチダイナミクスに関わる問題でもあるので、28年度中に行った。
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今後の研究の推進方策 |
(1)これまでに開発した開放量子スピン系のダイナミクスを計算する手法を用いて、まず乱れの無い系のクエンチダイナミクスを調べる。それにより、開放系のクエンチダイナミクスに関する普遍的な法則を見出す。得られた結果は論文にし、発表する。開放系のクエンチダイナミクスは人々の関心が集まり始めて間もない分野であるので、乱れの無い系に関する研究でも大きな注目を集めるはずである。 (2)次に、乱れのある開放量子スピン系のクエンチダイナミクスを同じ手法を用いて調べる。得られる結果を静的特性と結びつけて、クエンチダイナミクスにグリフィス特異性の性質を見出す。それにより本研究課題の目的を達成する。得られる結果は論文にまとめて発表する。 (3)さらに、乱れのある開放量子スピン系の計算を行うことにより、量子アニーリングにおける環境の効果を明らかにする。量子アニーリングにおいて環境の存在は有利に働くのか、それとも不利に働くのか、に注目する。得られる結果は論文にして発表する。量子アニーリングは現在非常に多くの注目を集めているため、一刻を争うつもりで取り組む。 ところで、これらの研究に使われる手法は共通しており、すでに開発が終わっている。したがって、計算機を動かすだけで、結果が出るのは時間の問題である。可能な限り早く結果が出るように研究を実施したい。 本研究で得られた結果は速やかに広く知れ渡らせる必要がある。そのため、論文にするだけでなく、国内外の学会やセミナー等に積極的に出かけて行き、発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度に行ったイタリア出張が予想以上に低い料金に抑えられたため。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費と旅費に分配する。
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