研究課題
本研究では、高強度レーザーを利用した超高速分子イメージング法の開発を行っている。とくに、分子内の複数の電子が相関をもって時々刻々動く様子を実時間でとらえる多電子の動的なイメージングについて、様々な観点から吟味する。本年度は、多電子系のイメージングに重要である多電子系のトンネルイオン化について、弱電場漸近理論の高次補正項を導出し、最も基礎的な2電子系についての詳細を系統的に調べた。そして、分子標的については、トンネルイオン化過程における核振動の取り扱いについて理論的考察を行った。実験観測量から標的物質の情報を読み取るための手続きとして、トンネルイオン化の後方散乱成分から標的物質との散乱断面積を抽出する「分離公式」を断熱理論を用いて導出した。得られた公式を用いて、搬送波包絡線位相を制御した超短レーザーパルス照射によって生じる希ガスのイオン化実験スペクトルの分析を行った。また、トンネルイオン化の前方散乱成分から散乱振幅の位相を抽出する新しい理論を構築し、数値計算によって得られた光電子スペクトルを用いて理論の検証を行った。その他、関連する強レーザー場中の原子・分子ダイナミクスの研究も行った。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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