研究課題
時間とエネルギーの不確定性関係を数学的に定式化した。時間とエネルギーの不確定性をいかに定義すべきかということに関しては諸説があったが、我々は、任意の物理量を測定されている最中の系のエネルギーの準位間隔の不確定性を定義し、測定過程の時間を短くすると、このエネルギー差不確定性が大きくなることを定量的関係式の形で証明した(成果は学会発表)。電子ビームのコヒーレンスを失うことなく電子波の波面を変形して、ベッセル関数型の波面を持つビームを生成する実証実験を行った(論文は J. Phys. Soc. Jpn. (2016)に掲載)。電子ビームをフォーク型回折格子を通過させて、軌道角運動量を持つらせん電子波を生成し、これを金の超微粒子に照射し、コヒーレントなホログラフィー像が得られることを実証した(論文はAMTC Letters (2016)に掲載)。また、スピン偏極した電子ビームを生成して、空間電荷クーロン相互作用によってエネルギー幅が広がるベルシュ効果を実験実証した(論文は Appl. Phys. Lett. (2016)に掲載)。これらの実験は、将来、らせん電子ビームやスピン偏極電子ビームを用いて量子論の概念を試す実験を考案する上で、あるいは、物質構造解析への応用を考える上で基礎となる。量子論の新しい定式化として圏論とトポスを用いた理論構成を研究した(研究会で口頭発表)。また、圏論と微分幾何学を用いて量子力学や電磁気学の新しい定式化を行っている(『数理科学』連載記事として発表)。本研究課題を通して得られた量子論に関する新しい知見を広く知らせ、研究情報を交換するために、研究会を数回開催した(2016年4月「量子と古典の物理と幾何学」研究会、2016年7月「第4回量子基礎論懇話会」、2016年10月「第5回量子基礎論懇話会」、2017年2月「量子と古典の物理と幾何」研究会)。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件)
数理科学
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