本研究では、トラップされたイオンの系を用い、固体中の強く相互作用する電子系の基本的な特徴を捉えるような物理的模型をシミュレートすることに向けて、また振動量子(フォノン)を用いた量子情報処理実現にむけて、基礎的な研究を行った。イオンを個別に高強度で光励起できる光学システムを構築し、それを用いてJaynes-Cummings-Hubbard模型の量子シミュレーションを2-4個のカルシウムイオン配列を用いて行い、モット絶縁体と超流動体間の転移を観測した。また2個のフォノンの量子干渉(ホン・オウ・マンデル効果)、1個のフォノンが4サイトを伝搬する量子ウォークを、いずれも初めて観測することに成功した。
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