磁気共鳴画像診断の造影剤として期待される鉄内包フラーレンを生成すると同時に単離する新しい技術を開発するため,フェロセン終端チオール自己組織化単分子膜(Fe-thiol-SAM)へのフラーレンイオン散乱における散乱粒子の質量分析実験を行った。Fe-thiol-SAMを吸着した二枚の円筒凹凸レンズ及び二枚の平板レンズの隙間にフラーレンイオンビームを入射し,散乱粒子の質量分析を行った結果,鉄原子とフラーレン分子の結合イオンを検出した。さらに,その粒子を単結晶シリコン基板に堆積し,誘導結合プラズマ元素分析を行った結果,鉄原子を検出した。以上の結果より,鉄と結合したフラーレン分子の合成に成功した。
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