量子絡み合いは、2つ部分系の状態間に現れる量子系固有の相関である。2つの系の状態間に量子絡み合いがなくとも、その系の間に相互作用があれば動力学的時間発展によって量子絡み合いが形成される。量子絡み合いはSchmidt分解で表され、Schmidt固有値で絡み合いの性質が示される。そこで、まず、ランダム行列の最大Schmidt固有値に注目し、その分布関数を解析的に導出した。それを基準とするランダム性の指標を導入し、動力学的に形成された量子絡み合いの統計分布から、量子絡み合いを形成する動力学が、十分に発達したカオスであるのか、弱いカオスのであるか、または可積分であるのか判定可能であることを示した。
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