本研究では植物、昆虫、動物の濡れ現象を実験と理論の両面から考え、半定量的な議論により現象のメカニズムを理解することを目指した。取り組んだ主要なテーマは、疎水性基板に開けた孔への水滴の浸透条件の解明、ロータス効果のメカニズムの解明、ハスの葉のダブルラフネス構造の物理的意味の解明である。結果として、生物表面の濡れ現象を理解するためには、液滴の表面エネルギーと界面エネルギー、液滴の位置エネルギー、表面構造に起因して液滴にかかっているピン止めエネルギー、液体の粘性に起因するエネルギー散逸、表面構造がつくりだすラプラス圧、水滴が表面にぶつかるときに発生する圧力といった因子が重要であることを明らかにした。
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