我々が開発した超高感度DSCを用いて、コレステロールを含まない脂質二分子膜の熱異常を測定し、秩序液体相(lo相)を探索した。 これまでの結果より、炭化水素鎖長が短く、極性頭部の大きなリン脂質で秩序液体相(lo相)が現れると期待される。そこで、ジラウロイルホスファチジルコリン(C12PC)より炭化水素鎖が短いジアンデカノイルホスファチジルコリン(C11PC)、ホスファチジルコリンより極性頭部が小さいジラウロイルホスファチジルエタノールアミン(C12PE)、ジデカノイルホスファチジルエタノールアミン(C10PE)、ジオクタノイルホスファチジルエタノールアミン(C8PE)、極性頭部が大きく負の電荷を持ったジラウロイルホスファジルセリン(C12PS)、ジデカノイルホスファジルセリン(C10PS)、極性頭部が大きく負の電荷を持ったジラウロイルホスファジルグリセロール(C12PG)とジミリストイルホスファジルグリセロール(C14PG)、極性頭部が小さく正の電荷をもったジラウロイルホスファチジン酸(C12PA)、ジデカノイルホスファチジン酸(C10PA)、ジデカノイルホスファチジン酸(C8PA)について探索を行った。その結果、C11PC、C12PG、C14PG、C12PSのゲル-液晶相転移において2つの熱異常があり、中間相が存在する可能性があることが分かった。そこで、これらの脂質のX線回折実験を行った結果、C11PCには秩序液体相(lo相)があり、C14PGについては秩序液体相(lo相)があるらしいことがわかった。
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