研究課題/領域番号 |
26400436
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
梅村 和夫 東京理科大学, 理学部, 教授 (60281664)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | DNA / カーボンナノチューブ / RecA / SSB / ナノ |
研究実績の概要 |
研究2年めである平成27年度は、初年度に作製手順を確立し原子間力顕微鏡、各種分光法、電気泳動法、蛍光顕微鏡等による評価を行ったDNAや有機分子で表面府被覆したカーボンナノチューブ(CNT)、特に単層カーボンナノチューブ(SWNT)に対し、RecA蛋白質や一本鎖DNA結合(SSB)蛋白質等の蛋白質を吸着させる実験を主に行った。このうち、表面化学修飾したSWNTをDNAで被覆した場合には、化学修飾の違いやDNAの有無によってSSB蛋白質の吸着様態に違いが生じたのに対し、RecA蛋白質の場合はそれほど違いが見られなかった。また、温度応答性ポリマーで表面被覆し、さらにDNAでも被覆した場合には、RecA蛋白質の吸着様態は反応温度に依存した一方、DNAの有無には依存しなかった。SSB蛋白質はSWNT表面においても明確にDNAを認識しているが、RecA蛋白質はDNAよりむしろその背後にあるポリマー等の影響を強く受ける傾向があると考えられる。このように、SWNTを担体とした反応実験を行うことで、それぞれの蛋白質の分子認識能力の違いを検証することができた。一方、評価方法について、SWNTの近赤外発光、近赤外吸収、さらに蛍光色素のSWNT表面での消光、というCNTに特異な現象に着目すると、SWNT表面での生体分子のふるまいを光学測定でモニターできることが分かってきた。例えば、DNAや蛋白質に蛍光色素を導入しておき、SWNTに吸着させたときの蛍光消光を測定することによって、DNAや蛋白質の吸着状況を推定することができた。このため、当初計画よりも光学測定に重率をかけた評価実験を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度中に実施する予定だった実験を終え、蛋白質との反応実験を進めることができた。また、光学測定を活用した実験から予想以上に多くの情報を得ることができたため、評価方法として光学測定の比率を高めた。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度は、DNA等で表面修飾したSWNT表面でのDNA結合蛋白質等のふるまいを調べ、SWNTを担体として用いて蛋白質分子の分子認識能を評価する手法を確立する。また、評価方法について、特に複数の光学測定を同一試料に適用することで豊富な情報を得る手順を確立する。
備品への投資は初年度で終了しているため、当初の予定通り、最終年度は蛋白質等の消耗品等の購入に予算の多くを用い、また特に学会発表、論文発表によって研究成果を広く周知することにも重点を置く。
|