• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

プロテインAとその誘導体の溶液内構造と抗体との結合様式の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26400438
研究機関姫路日ノ本短期大学

研究代表者

木原 裕  姫路日ノ本短期大学, その他部局等, 教授 (20049076)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードプロテインA / X線溶液散乱法 / 免疫抗体
研究実績の概要

プロテインAが,溶液内でどのような構造を取っているかを明らかにする目的で,X線溶液散乱法で研究を行うことを企画した。プロテインAは,3本のαヘリックスを折れ曲げてできたサブユニット5個が,短いジョイントで繋がれた構造をしており,かっちりとした立体構造を持っていないと思われる。我々は,野生のプロテインAに加えて,一つのサブユニットを修飾してアルカリ耐性を高めたサブユニットを作り,これを5個連ねた誘導体を構築し,野生株と比較検討した。実験は,高エネルギー加速度研究機構放射光研究施設およびあいちシンクロトロン光施設のX線溶液散乱測定ステーションを利用して行った。野生のプロテインAは,中性では,免疫抗体IgGと結合するが,酸性では解離する。これはプロテインAの構造が,酸性状態と中性では異なるためではないかと予想し,実験は,野生株,誘導体とも酸性,中性で行い,それらを比較検討した。どの条件でも,解析に耐えるデータを得ることができた。 ab inio の計算結果では,それぞれの状態の間に差は認められたものの,顕著な構造の違いは観測されなかった。現在その結果に基づいて,コジマらの開発した SAX-MD 法を用いてモデル構造の計算を続けている。
一方,プロテインAが免疫抗体のとどのように結合するかは極めて興味深い研究対象である。我々は,当初 IgG とプロテインAとの結合体の構造を測定しようとしたが,会合体を形成して,プロテインAとIgGだけの結合体の測定が困難であったが,IgG に代えてその一部であるFcフラグメントを用いて測定したところ,きれいな測定結果を得ることができ,おそらく両者が1:1で結合していることを示唆するデータが得られた。この結果についても若干の追加実験を行った後,発表したいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

目的としていた実験はほぼ終了した。現在はモデルに基づいた構造計算をしている。年度内には成果を論文の形で発表できる予定である。ただ,実験の中で興味深い結果が得られてきたので,来年度には新たな課題で、科学研究費を申請したいと考えている。

今後の研究の推進方策

本研究でめざしたプロテインAの溶液内構造の研究の課題はほぼ成功裡に終わりつつある。まず今まで得られた実験結果をまとめて、SAXSーMD法によるモデル構造の計算を完成させ、できれば年度内に論文として投稿するところまで進めていきたい。
さらに、次のステップとして,プロテインAと免疫抗体がどのように結合するかのメカニズムに進みたい。この系については、既に予備的実験を行い、会合のない測定が可能であることを確かめることができた。今後新たな実験の計画するには、資金が必要であり,来年度の科研費に応募したいと考えている。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] A redox switch shapes the Lon protease exit pore to faclutatively regulate proteolysis2015

    • 著者名/発表者名
      Nishi, W., Kukimoto-Niino, M., Terada, T., Shirouzu, M., Muramatsu, T., Kojima, M., Kihara, H., and Yokoyama, S.
    • 雑誌名

      Nat. Chem. Biol.

      巻: 11 ページ: 46-51

    • DOI

      10.1038/nchembio.1688

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A Physicochemical and mutational analysis of intersubunit interactions of Eshcerichia coli ferritin A.2015

    • 著者名/発表者名
      Ohtomo, H., Ohtomo, M. sato, D., Kurobe, A., Sunato, A., Matsumura, Y., Kihara, H., Fujiwara, K. Ikeguchi, M.
    • 雑誌名

      Biochemistry

      巻: 54 ページ: 6243-6251

    • DOI

      10.1021/acs.biochem.5b00723

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Expansion of Whack-A mole model to a time-lag phase of radiation effect2015

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Kihara
    • 学会等名
      YITP International Workshop: Biological & Medical Science based on Physics:
    • 発表場所
      京都大学湯川研究所
    • 年月日
      2015-11-05 – 2015-11-07
  • [学会発表] 放射光を光源とした軟X線顕微鏡によるカビ臭産生シアノバクテリアの観察2015

    • 著者名/発表者名
      竹本邦子,吉村真史,難波秀利,木原 裕
    • 学会等名
      第56回日本組織細胞化学会
    • 発表場所
      関西医科大学
    • 年月日
      2015-10-03 – 2015-10-04
  • [学会発表] Sirt4 複合体構造モデリング2015

    • 著者名/発表者名
      小島 正樹
    • 学会等名
      日本バイオイメージング学会
    • 発表場所
      東京理科大学葛飾キャンパス
    • 年月日
      2015-09-26 – 2015-09-28
  • [学会発表] Protein A 及びその誘導体のX線溶液散乱法による構造解析2015

    • 著者名/発表者名
      新庄正路,市村 薫,山本章嗣, 木原 裕
    • 学会等名
      第53回日本生物物理学会
    • 発表場所
      金沢大学角間キャンパス
    • 年月日
      2015-09-13 – 2015-09-15

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi