研究実績の概要 |
本研究の目的は、抗体精製に用いられる protein A と抗体との結合様式を明らかにすることであった。それはまず第一に一つの protein A に何個の抗体が結合するかを明らかにすることであったが、3本のαヘリックスが5つ繋がった形の protein A が溶液中でどのような決まった構造をとるのかを明らかにすることも大きな目的であった。本研究期間中には、昨年度まで2年間に行った実験・解析にもとづいて、平成28度は成果を発表するための解析に費やす予定であったが、実際には追加実験を行い、protein A (wild type), その誘導体(C5d, C5N1) について、X線溶液散乱実験を行った。結果は、主にC5d について、構造のエネルギー最小化を行って得られた構造が、ほぼX線溶液散乱の結果を再現することが分かり、protein A は、柔らかで、かつグロビュールな構造であることが確かめられた。これは、決まった構造を取りながら、ストレスのかからない構造を作っていることとなり、おそらくモルテングロビュール状の構造ではないかと思われ、興味深い。 次のステップとして、protein A とその抗体の一部であるFc fragment との複合体の構造を餅メル目的で、X線溶液散乱の実験を行った。実験結果は、protein A とFc fragment, それに両者の複合体の3種類の産卵曲線を分離して求めることができた。この解析については、まだ進行中である。
|