マルチモード表面波から得られる高精度な3次元S波速度モデルを用いて,リソスフェア-アセノスフェア境界の空間分布を推定すると共に,S波鉛直異方性の高精度な復元法について検証した.最新の豪州大陸や太平洋地域の3次元モデルには,リソスフェア直下のアセノスフェア内に顕著なSH>SVとなる鉛直異方性がみられ,高速移動するプレート直下に強いせん断力が影響していることが示された.さらに,レシーバ関数から推定される大陸リソスフェア内部の不連続面(深さ70-90km)の深さが,S波鉛直異方性プロファイルの変曲点と一致することや,内部不連続面と微細不均質性・鉛直異方性との関連性など,新たな知見が得られた.
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