均質弾性体中の平面断層上に3つのアスペリティを仮定したモデルで長期間のすべり挙動の数値シミュレーションを行った.前年度に行った2つのアスペリティを考慮したモデルでの結果と同様に,1つのアスペリティですべり挙動が地震的から非地震的に変化する際に,地震発生サイクルが複雑になり非周期的なサイクルになることがわかった.この結果と3自由度バネ-ブロックモデルの結果を比較すると,すべり挙動が地震的から非地震的に変化する際に地震発生サイクルが複雑になるは共通するが,バネ-ブロックモデルの方がより複雑な地震サイクルになりやすい.バネ-ブロックモデルのシミュレーション結果の解釈の際には注意が必要である. 地震現象の代表的な統計物理モデルであるバネ-ブロックモデルと速度・状態依存摩擦則と組み合わせたモデルの諸性質を,特に余効すべりやサイレント地震等のスロースリップ現象に着目しつつ,数値シミュレーションにより調べた.その結果,少数個の摩擦則・弾性パラメータにより,多様な地震性および非地震性のすべり現象が,単一の枠組みにおいて再現できることが判った.これは,複雑多様な地震現象の物理的起源に関する理解を得る際に,有用な指針を与えるものと期待される. Global CMTカタログに含まれる,1990年以降発生した深さ100km以浅,Mw8.0以上の地震24個すべてについて,地震活動の長期静穏化が本震前に見られるかどうかを調査した.24個の内5個に関しては定常地震活動が低いため解析不可能であった.それ以外の19個に関して,震源域及びその周囲において1964年から本震時までに発生したmbが5.0以上,深さ60km以浅の地震をISCの地震リストから選び,地震活動度の時間変化を調べた.その結果,19個すべての地震について,本震前に長期静穏化が見られた.静穏化の継続時間は9年から25年であった.
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