研究課題/領域番号 |
26400455
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉村 令慧 京都大学, 防災研究所, 准教授 (50346061)
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研究分担者 |
小川 康雄 東京工業大学, 学内共同利用施設等, 教授 (10334525)
山崎 健一 京都大学, 防災研究所, 助教 (20436588)
寺石 眞弘 京都大学, 防災研究所, 助教 (50109071)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地球電磁気 / 地震 / スロースリップ / 比抵抗構造 |
研究実績の概要 |
豊後水道におけるスロースリップの発生場の状態の解明と構造の時間変化検出のためのモニタリング観測網の構築を研究の目的としている。平成27年度は、研究対象領域である四国西部域において、広域の比抵抗構造を推定するための広帯域MT観測を22観測点において実施した。各観測点において、電場2成分、磁場3成分の自然電磁場変動を2週間程度連続収録した。平成26年度実施の6観測点を含めて、計28観測点のデータについて、BIRRP(Chave&Thomson, 2003)プログラムを利用した時系列の再処理を行った。結果として、大部分の観測点において、周期帯300Hz~10,000秒で非常に良質なMT応答が推定された。 平成26年度に京都大学防災研究所宿毛観測室に試験的に設置した長周期MT観測装置について、平成27年度は長期運用試験を継続した。データ転送の不具合による1ヶ月弱の欠測を除き、1年以上の期間での安定した運用を実現できた。しかしながら、電場計測のための電極に経年劣化による不具合が計2回生じた。電極の安定性は、MT応答の変化を検出するために、非常に重要であるため、次年度には他種電極の採用や埋設方法の変更について検討を加える予定である。磁場計測については、非常に安定して行えていることを確認した。長期運用試験中、観測室位置での地動振幅の大きい地震が発生し、その地動に対応する電場変動を記録した。対して磁場変動には明瞭な信号は記録されておらず、両者を加味した地震時電磁場変動生成メカニズムについても、今後検討を加える予定である。 転送後のデータの逐次処理体制は構築を完了し、他研究者へのデータ公開について学会発表等にて周知を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
背景構造の把握のための広帯域MT観測については、本研究において計30点を予定しているが、現時点で28点での観測を完了した。長周期MT観測装置による長期運用試験により、データ転送のノウハウの蓄積や電極の安定性に対する課題の明確化など着実にモニタリングの実現に向けて進展している。
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今後の研究の推進方策 |
推定されたMT応答の品質の低い観測点の再観測(2点)および豊後水道の島嶼部での追加観測(2点)を平成28年度早々に実施し、計30点において3次元逆解析を進める。安定した電場計測が可能となるよう、使用する電極や埋設方法に検討を加える。 得られた3次元比抵抗モデルを用いたフォワードモデリングにより、構造変化に伴う時間変化の検出可能性を検討し、有効性が確認された場合、モニタリング点の選定・設置を行う。
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