研究課題/領域番号 |
26400469
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中島 健介 九州大学, 理学研究院, 助教 (10192668)
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研究分担者 |
石渡 正樹 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (90271692)
大淵 済 国立研究開発法人海洋研究開発機構, アプリケーションラボ, 主任技術研究員 (30359228) [辞退]
高谷 康太郎 京都産業大学, 理学部, 准教授 (60392966)
山崎 哲 国立研究開発法人海洋研究開発機構, アプリケーションラボ, 研究員 (20633887)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 大気大循環モデル / 水惑星 / モデル相互比較 / 熱帯対流活動 / ウォーカー循環 / 系外惑星大気 / ロスビー波 / ケルビン波 |
研究実績の概要 |
(1) 赤道域の海水温が東西に非一様である場合の大気の大規模応答の構造が、平均的南北温度勾配に強く依存することが前年度に見出されたが、これに関してさらに解析と考察を加えた。総合的な結論として、南北温度勾配が大きい場合(これは過去に我々が行った国際水惑星大気大循環モデル比較実験において標準とされた設定も含んでいる)に現れる構造は、熱帯大気の「常識」とされる「ウォーカー循環」あるいは「Matsuno-Gill 応答」とは全くかけ離れた特徴を持っていると言える。したがって、この特徴を言い表すには、事実上、新しい用語の定義が必要であることを意味する。これは極めて重要かつ新しい結果であるので、論文の執筆にあたって、慎重に扱う予定である。 (2) APE の結果に関して、大気ブロッキングに対応する長周期の時間変動の観点から解析を始めており、予備的な結果として東西一様海水温の実験について、南北対称的な変動が見出されている。この特徴は過去には傾圧不安定の一種として理解されていたが、より包括的に解析すると同時に、過去の解釈の妥当性も含めて今後、検討していく予定である。 (3) 居住可能環境の系外惑星のカテゴリの1つとして注目されている「同期回転惑星」の大気循環構造、具体的には大規模波動と赤道域の西風加速の共存に関して、APE の海水温東西非一様実験との共通性が、力学的側面において明確になった。この認識は、APE2 を提唱するにあたって考慮すべき重要な要素である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
熱帯域海水温の東西非一様に対する大気循環応答の構造が、惑星スケールの南北温度勾配に強く依存し、状況によっては、熱帯気象学に関する従来の「常識」を著しく逸脱した応答構造となり、概念構成を慎重に作りなおす必要が生じた。この結果は新規かつ重大なものであるので、本研究の出版論文として明確に主張できるように、論文執筆を慎重に行う必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
H29年度は代表者・分担者で密接にとりつつ、結果の集約と論文投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
H28年度に国際水惑星比較実験APEに関する論文およびAPE2の新規提唱についての論文を出版する予定であったが、APE の結果について、大気大循環のより大きな枠組での解釈の必要性が明らかになり、その結果をAPE2の提唱内容にも反映させるべきであるため、計画を変更して新たな数値実験・考察・解析を行った。このため、これらの論文の刊行を次年度の行うことした。
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次年度使用額の使用計画 |
APE の解析結果、および、APE2 の提唱の提唱に関する論文の出版費用にあてる。
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