研究課題/領域番号 |
26400470
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
西 憲敬 福岡大学, 理学部, 准教授 (00222183)
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研究分担者 |
鈴木 順子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 大気海洋相互作用研究分野, 技術研究員 (50512878)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 衛星計測 / 熱帯気象 / 雲 |
研究実績の概要 |
雲頂高度プロダクトの作製に関しては、このプロダクトの中核部分である熱帯域プロダクトについて、CALIPSO衛星のライダーCALIOPを教師データとして雲頂高度を推定する方法の確立に成功した。これまでの版ではCloudSat衛星の雲レーダーCPRを用いていたが、光学的に薄い巻雲の雲頂高度推定にどうしても大きな問題があるために、より感度の高いライダーの利用が望まれていた。しかし、ライダーは圏界面付近にある非常に光学的に薄い雲も検出してしまう問題があり、これまでその扱いに苦慮していた。今回、「雲の光学的厚さが0.1または0.2を超える雲層にかぎり、その雲頂を採用する」というスキームを導入することによって、かなり良い精度での推定ができることを見いだした。このスキームを実際にMTSAT-1R, 2, himarari-8の利用可能なすべての衛星に対してあてはめたが、すべての衛星の測器に対応して良い結果を得ることもわかった。また、雲の光学的厚さの推定についても、CALIOPとCPRを教師データとするものを併記することによって、巻雲および降水雲の両方について利用しやすいプロダクトを提供できることがわかった。これらの結果を利用して、延長した最終年度に利用しやすい形のプロダクトを提供可能する予定である。 雲プロダクトを用いた解析については、巻雲の生成消滅と赤道波の力学構造の関係を調べている。赤道波に伴って形成される温度逆転層と巻雲生成消滅に有意な関係を見出した。現在は、衛星COSMICによる温度精密データを用いて、さらに詳細な赤道波の温度構造を抽出することによって、分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新しいプロダクトの作製およびそれを用いた波動解析の両面において順調な研究の進捗があったとみられる。ただ、2015年に打ち上げられたHimawari-8の特性把握にやや時間を要したので、その対応が予定よりも遅くなった。延長した最終年度はHimawari-8に対応するための最終確認をおこなって、既存の衛星のデータとのシームレスな接続を試みたのち、新しい版のプロダクトを公開していくことができるとみられる。
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今後の研究の推進方策 |
プロダクトの作製については、2015年に導入されてこれから数年間運用されるHimawari-8,9に対するスキームを完成させて、MTSATの頃からの約12年間にわたる品質の安定したプロダクトを作ることを、延長した最終年度の目標とする。実際に作製者自身で多方面の解析を行いながら、データの品質を高めていく。プロダクトを利用した解析については、主にまとめを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に分担者の産休および育休のために研究内容を延期した影響がある。また、期間を延長しても、2015年に打ち上げられた衛星のデータへの対応をきちんと行うことのメリットが大きいと考えた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度までに確立した雲頂などの推定手法について、衛星の最新情報を取得してそれに対応するとともに、気象関係者と品質などについて議論を行う。またプロダクトについておよびそれを用いた解析についての学会発表を行う。更新されたデータベースを複数のサーバ上でユーザに利用しやすい形で、実際に公開する。
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