熱帯域の雲データベース作製方法を改良し、その骨子を論文として発表した。また、それに関連して公開データベースを改訂した。詳細は以下のとおり。 1) 衛星搭載のライダーCALIOPのデータを教師データとして用いて、静止衛星の赤外スプリットウィンドウチャンネルデータだけから雲頂高度を推定する方法を確立した。上部対流圏における雲の光学的厚さを統計的に調べた。圏界面付近の光学的に薄い雲に対して赤外データの感度が十分でない、という問題に対して、雲頂からの光学的厚さが0.2となる高度を雲頂と再定義して推定を行うことが合理的であることを見いだした。これによるテーブルは、巻雲の雲頂高度が過小評価されるという問題を大幅に改善したものである。この内容を論文誌SOLAに投稿して2017年12月に掲載された。 2) 上記CALIOPを用いたデータベースは、季節性を考慮する必要があるなどの問題があるため、実験プロダクトと位置づけた。これまで正規に公開してきた雲レーダーCPRを教師データに用いたプロダクトを研究成果を反映させて更新した。これまでCPRを使って推定された雲頂の意味はあまり定かでなかった。このたびCALIOPプロダクトとの比較によって、CPRによって作製された雲頂は、積乱雲に対してはほぼ実雲頂を示しており、また厚めの巻雲については上からの光学的厚さが0.2程度の位置を示していることが明らかになった。プロダクト使用にあたって、この知見はよい見通しを与えることとなる。
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