研究課題
昨年度の解析から見出された、日本沿岸水位の第1モードと日本海の水位変動の関係について調べた。高解像度再解析データから、日本海の平均水位には、長期トレンドとともに顕著な十年規模変動が存在し、これらは海洋内部の貯熱量変動を伴っている事が分かった。収支解析から、対馬海峡における熱輸送が日本海貯熱量の長期変動の主要因であり、海面熱フラックスは、貯熱量変動に受動的に応答している事が分かった。また、対馬海峡の熱輸送量の長期変化は、沿岸水位第1モードの時係数と良い相関関係にあることが分かった。これは、第1モードの水位変動により、九州と朝鮮半島の水位差が変化し、その結果、対馬海峡の通過流量の変化を通じて熱輸送量の変化が生じるためである。上記結果と昨年度までの沿岸水位の変動メカニズムを総合し、中緯度偏西風の変動が黒潮続流、日本沿岸水位、対馬暖流を介して日本海貯熱量の十年規模変動を引き起こす、という新しいメカニズムを提案した。
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Journal of Oceanography
巻: 73 ページ: 205-233
10.1007/s10872-016-0398-5