研究課題/領域番号 |
26400473
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研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
青柳 暁典 気象庁気象研究所, 環境・応用気象研究部, 主任研究官 (10442740)
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研究分担者 |
永井 智広 気象庁気象研究所, 気象衛星・観測システム研究部, 室長 (30343891)
酒井 哲 気象庁気象研究所, 気象衛星・観測システム研究部, 主任研究官 (00377988)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ドップラーライダー / スペクトル解析 / 乱流 / 都市キャノピー |
研究実績の概要 |
小型ドップラーライダーを2014年6月20日に気象研究所に設置し、10日間の性能評価観測を実施した。気象研究所に隣接する高層気象台にて観測されている気象ゾンデ、及び、低層観測用ドップラーライダーとの比較検証を行った。結果、3つの測器によって得られた風速は絶対値にバイアスがみられるものの、その鉛直分布(鉛直勾配)は相関良く取得できていることが確認された。その他、気象ゾンデでは数100m程度以下という低層の風観測には気球の振れによる誤差が含まれ得ること、約60m以下の高度範囲では周辺の木々の影響によると思われる風速低下が見られること、また、その風速低下領域においては乱流強度に相当するドップラースペクトル幅が大きくなっていること、なども確認することができた。 6月期の性能評価観測結果から、都市域上空の乱流観測にドップラーライダーが有用であることが示された。このため、翌2015年1月14日に小型ドップラーライダーを千代田区大手町の気象庁敷地内に設置し、現実都市域での乱流観測を開始した。2月20日までの1ヵ月余りにわたって都市域上空の乱流観測を継続したが、データの取得率は35%程度にとどまった。これは、ドップラーライダーからのレーザー光を反射させるエーロゾル粒子が冬場の大気には少ないからである。冬場でも都市内には豊富にエーロゾル粒子が存在しているとの期待があったのだが、風速を解析するための信号強度を得るには至らない日も存在したことになる。今後は、取得できた35%のデータをもとに、都市ビルキャノピー層内の乱流の解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初より計画していた気象研究所内での性能評価試験及びデータ解析は順調に完了した。その解析結果についても、ライダーの専門家が集まるシンポジウムで報告することができた。本研究の主目的である都市内部での乱流観測では、データの取得率が思うように伸びなかったものの、乱流解析には十分なデータは蓄積できたと思われる。 ドップラーライダーデータの解析プログラム作成等に集中したため、予定していた鉛直1次元都市乱流モデルの開発には着手することができなかった。次年度は鉛直1次元都市乱流モデルの構築に軸足を移す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2015年5月中旬から6月中旬まで、現実都市域での乱流観測をあらためて行う予定である。まずはこの5月期の観測を完遂する。蓄積した都市乱流データセットの解析結果については、7月末に開催予定の第9回国際都市気候会議にて発表するとともに、論文として観測成果をまとめたい。 鉛直1次元都市乱流モデルは、既報の多層都市キャノピー用放射モデルをベースとして開発を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
フェンスに囲まれた場所での観測が可能となったことにより、購入を予定していた観測用消耗品の一部(トラロープやバリケードフェンスなど)の調達が不要となったため、及び、装置移設費が想定していたほどかからなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
7月末に開催予定の第9回国際都市気候会議にて研究成果を発表するための旅費及び大会参加費に充当する。
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