研究課題/領域番号 |
26400473
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研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
青柳 暁典 気象庁気象研究所, 環境・応用気象研究部, 主任研究官 (10442740)
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研究分担者 |
永井 智広 気象庁気象研究所, 気象衛星・観測システム研究部, 室長 (30343891)
酒井 哲 気象庁気象研究所, 気象衛星・観測システム研究部, 主任研究官 (00377988)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ドップラーライダー / 都市キャノピー / 乱流 / ドップラースペクトル / スペクトル解析 |
研究実績の概要 |
本研究では、都市域に林立する高層ビル群が下層大気に与える力学的影響を解明するため、未だ観測例の少ない現実高層ビル群内の風・乱流鉛直分布の実証観測を行い、実データに基づく精緻な都市キャノピー乱流モデルを構築することを目指す。 前年度は、気象研究所における試験観測を行い、風・乱流の鉛直分布観測にドップラーライダーシステムが適していることを確認するとともに、冬季には東京都心での実証観測を実施した。本年度は、小型ドップラーライダーを千代田区大手町の気象庁敷地内に設置し、春季のデータ取得を行った。2015年5月13日から6月17日まで連続観測を行い、高層ビル群内の風・乱流の鉛直分布データの取得に成功した。この春季観測におけるデータの取得率(200mまでの全高度でデータ取得ができた割合。降水による観測不能時間帯も含む)は73%であった。 冬季及び春季の平均的な風速鉛直分布を解析したところ、120m~140m付近に風速鉛直分布の変曲を見ることができた。変曲点より下層の風速鉛直分布の勾配が冬季・春季ともにほぼ同じことから、この変曲がみられる高度までの範囲が、観測地点周辺の高層ビル群による力学的影響を直接的に受けている領域(都市キャノピー層)であろうことが推察された。本年度はさらに、ドップラースペクトル幅で表現される乱流強度の鉛直分布についても解析を進めた。風速の鉛直分布に比べ、乱流強度は日々の変化はもとより、日変化もかなり大きいことが確認できた。上層より下層の方が、また夜間より日中の方が乱流強度が大きいことを実際の観測で確認できたのは、本研究の重要な成果のひとつといえる。 数値モデルの開発においては、都市ビル群による形状抵抗を考慮する多層化した都市キャノピーモデルの定式化を行った。現実都市の地表面状態の設定と、現実都市での風・乱流観測データとの比較検証が今後の課題として残る。
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