研究課題
固有磁場を持つ天体は周囲に磁気圏を形成し、その中では活発なプラズマ輸送・加速現象が出現している。これらの現象の駆動過程は、それぞれの天体が持つ固有の特徴(自転角速度、固有磁場強度、磁気圏プラズマ源など)に強く影響される。本研究では、太陽系惑星の中では最も自転効果とプラズマ源の効果が強く出現する木星磁気圏を研究対象とし、その磁気圏の特徴をひさき衛星による観測を中心に調査することによって、磁気圏の普遍的な理解を目指す。本研究では、まず、ひさき衛星が2014年に観測したデータを用いて、木星磁気圏の主要なプラズマ源である衛星イオと木星磁気圏との相互作用の結果発生する電子加熱現象を調査した。イオの下流域において数100GWの電子加熱が発生し、内部磁気圏での電子加熱の10-20%を担っていることが明らかとなった。2015年には、ひさき衛星による木星磁気圏観測中に衛星イオ上で火山活動が一時的に活発となった。ひさき衛星の観測からは、火山活動の活発化に伴い、木星内部磁気圏のプラズマ量が増大し、その後、磁気圏内のエネルギー開放現象の頻度と規模が増大したことが検出された。これは、木星のような回転系磁気圏でのエネルギー開放に、磁気圏内部のプラズマ源の大きさが寄与していることを示す初めての観測結果である。衛星イオの火山活動の活発化により、(1)イオ起源の二酸化硫黄ガスの解離により生じる酸素原子量が増大した事、(2)原子のイオン化に伴い、内部磁気圏のプラズマ量が増大した事、(3)プラズマが磁気圏外側の領域に徐々に輸送され、これがオーロラ活動を活発化させた事、(4)オーロラ活動の活発化とともに、磁気圏内で解放されたエネルギーは急速に内部磁気圏に輸送され、内部磁気圏のプラズマ加熱を引き起こすこと、が明らかとなり、5本の英文学術論文にまとめられた(内、4本が受理・出版済み、1本が査読中である)。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 4件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 備考 (5件)
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