研究課題/領域番号 |
26400479
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
柿並 義宏 高知工科大学, 工学部, 助教 (00437758)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | サウンディングロケット / 熱圏大気 / 電離圏プラズマ / カスプ / プラズマドリフト / 熱圏風 / バリウム / 海外学術調査 |
研究実績の概要 |
下部熱圏(80~100 km)はオーロラが発光したり,強い電流が流れるなど,超高層大気の運動を左右する重要な領域であるにもかかわらず,気球観測には高度が高すぎ,人工衛星観測には高度が低すぎる場所であるため,観測が非常に難しい.そのため,ロケットから共鳴散乱発光するガスを放出し,その動きを地上から観測することで中性大気風やプラズマドリフト速度を算出することが数少ない観測手法の一つである.本研究ではロケットから下部熱圏へのバリウムガス放出し,地上で観測されるガスの動きから下部熱圏風とプラズマドリフト速度を計測し,カスプで観測された中性大気密度異常の成因を解明することを目的とする.これまではほとんどイオン化しないリチウムを用いて観測を行っていたため中性大気風しか観測できなかったが,太陽極端紫外光を受け,一部がイオン化するバリウムを用いることで中性大気とプラズマの動きを同時に計測できることが大きな特徴である. 中性バリウム(Ba)およびバリウムイオン(Ba+)は共鳴散乱発光するが,非常に暗いため,観測するためには,それぞれの光のみを通すバンドパスフィルタ(Ba用:中心波長554 nm,Ba+用:中心波長455 nm)が必要である.そのフィルタを開発し,国立極地研究所所有の積分球を用い,観測条件ごとに絶対光度測定を行った. ロケットは2014年11月にノルウェー・アンドーヤから打ち上げられ,バリウムガスの観測はスヴァールバル諸島のニーオルスンとロングヤービンで行った.どちらの観測点ともBaおよびBa+の観測に成功し,中性大気とプラズマが別々の動きをしていることが分かった.また,ロングヤービンでは発光スペクトルを観測することにも成功した.スペクトル観測初期解析から一番明るいBa+ 455 nm以外にも614 nmが十分地上観測可能な明るさの発光であることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
観測用バンドパスフィルタの開発は完了し,ほとんどの観測条件下での絶対光度計測は終了した.2014年11月ロケット打ち上げは成功し,地上観測にも成功したため,計画は順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
観測したデータを基に,熱圏風,プラズマドリフト速度を算出する.また,明るさの変化,ガスの拡散から中性大気密度の算出を試みる.ロケット実験前には予定していなかった観測条件で観測を行ったため,追加で絶対光度計測を行う.
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