研究課題
太陽風エネルギーによる宇宙天気擾乱時の電磁エネルギーが磁力線に沿って極域電離圏に伝搬し、さらに中低緯度の電離圏(電離圏と地面の間)を経由して内部磁気圏に流入するという仮説を立て、これを検証するために、低緯度で実施されているHF Dopplerサウンダーによる電場変動と極-赤道地磁気ネットワーク観測による磁場変動の相関解析をおこない、地磁気急始、地磁気脈動など短時間変動とサブストーム、磁気嵐など長時間変動事象について電場の定量的評価をおこなった。磁気急始時に磁気圏が圧縮され、圧縮性磁気流体波が低緯度電離圏へ到達した時、一般に考えられていた電離圏の下降運動ではなく、上昇運動することを見いだし、この運動を起こす電場が極域電離圏から電流とともに低緯度へ瞬時伝搬した電場であることを示した。この成果を2016年に論文(Kikuchi他JGR2016)として公表した。サブストーム時には、領域2型沿磁力線電流による過遮蔽電場が赤道でカウンタージェット電流を流す(Hashimoto他2011)が、HF Doppler解析をおこなった結果、過遮蔽電場が夜間の低緯度電離圏を上昇させるほか、夜間赤道電離圏に東向きジェット電流を流すことを見いだした。過遮蔽電場と赤道電流の関係を定式化し、論文をJGR誌に投稿した(Hashimoto他2017)。Pc5地磁気脈動に対しても同じ解析をおこない、低緯度電場と赤道ジェット電流の定量的関係を太陽天頂角の関数として得た。この成果の論文を準備中である。磁気嵐の電場については、チェコの研究グループのデータ提供を受け、チェコの夕方から台湾、日本の真夜中過ぎに磁気嵐主相に伴う強い対流電場が発達することを見いだした。現在、詳細な解析を実施中であるが、初期的な成果を国内外の学会で公表した(AGU,AOGS)。
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