研究課題
本研究では,中生代における北西太平洋の海洋プレートの配置について,地球物理学的手法とは独立に,地質学的な証拠から復元することを目的とし,オフィオライトや付加体の野外調査によって層序や構成岩石,砕屑物組成を把握するとともに,岩石の化学組成による形成場の特定や,化石および放射年代による形成および付加年代を決定した.中央北海道では,①沈み込む海洋プレートの年齢が急激に若くなる白亜紀中期における付加体の海洋プレート層序の復元,②オフィオライトの形成場と形成年代の検討の2項目に主眼をおいた研究を行った.とくに,神居古潭帯三石蓬莱山地域や新冠地域において,蛇紋岩や苦鉄質火成岩がオフィオライトを構成すること,これらのオフィオライトがボニナイトを含むことから海洋性島弧で形成された可能性が高いことを明らかにした.また,三石地域では形成時期がジュラ紀中期末~後期初頭であること,新冠地域では地殻深部~マントル最上部の岩石が白亜紀の半遠洋性堆積物に不整合に覆われることが明らかになった.ユーラシア大陸の縁辺で形成された北部北上帯の付加体形成年代との比較から,後期ジュラ紀~前期白亜紀前半の3~4千万年の間,当時の北西太平洋には少なくとも2つの沈み込み帯(ユーラシア縁辺と,沖合いの海洋性島弧)が活動していたことが明らかとなった.平成29年度には,海洋性島弧側の沈み込み帯で形成されたと考えられる変成岩(神居古潭変成岩)について,角閃石のAr-Ar年代測定を行い,2重沈み込み帯の検証を行った.中央北海道での検討と並行して,オホーツクプレートの起源や性格を明らかにするため,東北海道の常呂帯においても,砕屑物の化学組成や砕屑性ジルコンのU-Pb年代を検討し,白亜紀にはユーラシア大陸からの物質供給がない独立した島弧海溝系である可能性が高いことが判明した.
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Island Arc
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Geochemical Journal
Journal of Asian Earth Sciences
巻: 151 ページ: 112-130
10.1016/j.jseaes.2017.10.025
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10.1016/j.jseaes.2017.04.021