研究課題/領域番号 |
26400483
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
亀尾 浩司 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00312968)
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研究分担者 |
千代延 俊 秋田大学, 国際資源学部, 准教授 (40526430)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 石灰質ナノ化石層序 / 化石基準面 / 北西太平洋 / 国際標準尺度 |
研究実績の概要 |
本研究は,標準年代尺度として用いられるGeolgic Time Scaleにおいて,石灰質ナノ化石基準面の基礎データがない北西太平洋海域の標準的な指標を確立するために,主に本邦陸上および周辺海域の地層群の検討に基づいてスタンダードとなる基準面の年代を与えようとする研究である.平成27年度は,前年度からの引き続きとして当初予定した通り,以下の課題に取り組み,成果を得た. 1)房総半島の鮮新統および更新統の石灰質ナノ化石の検討を行って,鮮新統における酸素同位体および古地磁気尺度と石灰質ナノ化石基準面の対応を明らかにした.特に,南房総に分布する布良層(めらそう)と房総半島中部の安野層(あんのそう)の化石基準面と酸素同位体層序とを比較し,3~4Maの両者の関係をほぼ確立した. 2)南海トラフ地震発生帯(NanTroSEIZE)試料の石灰質ナノ化石を検討して,主に中新統の下部における石灰質ナノ化石基準面を明らかにしている.現在も引き続き第322次研究航海で得られた深海底コア,C0011を用いた石灰質ナノ化石の検討を行っている. 3)第四系においては,ブリュンヌ・マツヤマ境界,すなわち下部・中部更新統境界付近の高解像度試料を検討し,表層海洋環境に連動したと考えられる石灰質ナノ化石の種の消長を明らかにしつつある. 4)上記の研究に加え,すでに得られている各種比較年代尺度,おもに酸素同位体データを利用し,それらをコンパイルすることによって,本邦における新第三系および第四系の石灰質ナノ化石基準面の中間のまとめを行った. 5)上記のような成果それぞれは,国内および国際学会においてそれぞれ発表を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定通り,鮮新統の石灰質ナノ化石基準面の検討が進み,一部については中新統の検討も行っており,順調である.なお,酸素同位体層序のデータ収集については,研究協力者の検討が進み,そこからデータの提供を受けたため代表者自身で検討を行う必要性は少なくなった.
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今後の研究の推進方策 |
現在の進捗状況を考慮し,最終年度である平成28年度は以下のような計画で研究を進める. 1)房総半島の鮮新統の残りの部分と第四系の検討と公表:これまでに検討が終了した層準については,順次まとめ作業を行って公表する準備をするとともに,残りの層準については,逐次検討を行って石灰質ナノ化石基準面の種類と位置を明らかにする. 2)現在検討を行っている南海トラフ地震発生帯掘削計画で得られた試料の検討を引き続き行い,可能な限り中新統の化石基準面を明らかにする. 3)これまでに得られたデータおよび今年度の検討結果について,学会で発表を行うとともに,論文作成を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
生じた次年度使用額はわずかであるが,それは謝金の利用をする必要がなかったため,若干の余剰が生じたものである.すなわち平成26年度にかなりの数の岩石試料を処理し,検討可能な状況にしたので,今年度は同様の処理を研究代表者自身が行うだけで検討が可能であった.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度にて必要な経費,主に検討結果の公表にかかる費用の一部に充当する予定である.
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