本研究では北オーストラリアマッカーサー盆で得られた前期から中期原生代(17~11億年前)の堆積岩を用いて、当時の海洋の酸化還元状態と窒素循環の関係を議論した。酸化的および還元的な海洋環境での窒素同位体比の平均値はそれぞれ2.5および2.6‰であり、先行研究で指摘されていた遠洋での硝酸枯渇に疑問を示す結果となった。さらに、酸化還元状態によってC/N比の分布が異なることが判明した。酸化的環境では20以下、還元的環境では69に達する。高いC/N比はNに枯渇した生体分子の蓄積により形成された有機物を反映している可能性がある。これは先行研究による微化石の分布およびバイオマーカーの結果とも整合的である。
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