本研究は,中生代に南半球中緯度帯に位置していたオマーンやネパールの三畳系の古風化度の差違から,両地域をまたいだ広域的な気候条件を探ることを目的とした.両地域の検討の結果,三畳紀最初期には強い風化を進める環境,たとえば高温環境が広域的に発達していたと考えられる.その環境は2百万年程度継続したが,その後,寒冷化や乾燥化などが起こり,大きな気候変動が生じた.これらはゴンドワナ大陸北縁のテチス海南岸での広域的変動に相当する可能性が高い. 一方,三畳紀後期では高温多湿の気候環境が出現したと考えられるが,海水準変動などの複合的な現象である可能性もあるため,今後の検討が必要である.
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